研究実績の概要 |
生体内への新規がん治療薬投与による精巣毒性の解析のため、ヒストン脱メチル化酵素Lysine Specific Demethylase 1 (LSD1)阻害剤であるNCL1を用いて、In vivo実験を行った。6週齢雄C57BL/6Jマウスに、精巣毒性を引き起こすBusulfanと、NCL1 1.0mg/kg、3.0 mg/kgを腹腔内投与した。ControlとしてDMSOを投与した(各群N = 15)。5週間後に精巣を摘出した。LSD1活性がどのように制御されているか調べるため、摘出した精巣検体を使用し、RNAシーケンスを行い、Ingenuity Pathway Analysis (IPA) で評価した。その結果、24のターゲット因子を同定し、その中で有意差のあった、Col1a2, Cdh1, Hoxb7, Scd1の4因子を抽出した。さらに、定量PCRでも評価し、NCL1の投与はLSD1の活性を抑制することを確認した。 つづいて、ヒト精巣におけるLSD1の発現を評価した。正常と男性不妊症のヒト精巣検体を用いて、LSD1の発現を免疫組織化学で評価した。正常精巣、不妊症精巣とも、セルトリ細胞と精祖細胞でLSD1の発現が高かった。精細胞では、精子形成に伴ってLSD1の発現は有意に減少した。不妊症精巣の一型であるMaturation arrestの精巣でも、精子形成の過程でLSD1の発現が減少していることを確認した。
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