研究課題/領域番号 |
21K16759
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
薄場 渉 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90867649)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / miR-146a-5p / TET2 / 診断マーカー |
研究実績の概要 |
再発・病期進展の可能性が高い筋層非浸潤性膀胱癌に対する低侵襲かつ高精度のバイオマーカーの発見、新たな膀胱内注入療法の確立を目的として、miR-146a-5pに関連する研究を行った。 本年度はまず、昨年度miR-146a-5pの標的遺伝子として同定したTET2 について、3-UTRアッセイを用いてmiR-146a-5pがTET2を直接標的としていることを証明した。次に、エクソソーム内miR-146a-5pおよびTET2遺伝子のヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)における影響を詳細に検討した。siRNAを用いてHUVECのTET2の発現をノックダウンしたところ、HUVECの増殖能が促進された。これはTET2がDNA脱メチル化の調節因子であり、その発現が悪性腫瘍における腫瘍抑制因子であるという報告を裏付ける結果であった。また、miR-146aを過剰発現させたJ82細胞のEVあるいは合成miR-146a をHUVECに添加し、mRNAおよび蛋白レベルの発現を解析したところ、どちらにおいてもmRNA 、蛋白共にTET2の発現が抑制されることが示された。さらにTET2の下流で働く因子について、マイクロアレイ解析の結果からターゲットをしぼり発現解析を行った結果、TET2 はc-mycを介して、膀胱癌の血管新生を促進していることが明らかになった。また、免疫組織化学染色にて膀胱癌における血管新生とTET2の局在を確認したところ、TET2と血管内皮マーカーであるCD31は同じ場所に局在が見られ、TET2発現が低下している標本ではCD31発現が亢進していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に示したように、miR-146a の標的遺伝子が真にTET2であることを証明し、c-mycを介して膀胱癌における血管新生を促進することを明らかにし、研究は予定通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
・同所性膀胱癌モデルマウスにおけるmiR-146aの腫瘍増殖および血管新生能への影響を、本年度同定したTET2遺伝子などを指標として解析する。 ・同所性膀胱癌モデルマウスに対するmiR-146aならびにTET2をターゲットした膀胱腔内注入療法について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の検討はin vitro実験のみでin vivo実験には着手しなかったため物品費の使用がセーブできた。次年度はマウス膀胱腫瘍モデルにおいてmiR-146a-5pが血管新生に与える影響を検討するため、そちらに残金を使用する。
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