研究課題/領域番号 |
21K16765
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
飯塚 崇 金沢大学, 医学系, 講師 (90748617)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2025-03-31
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キーワード | Laeverin / 胎盤機能 / トリプトファン代謝 / 胎児発育不全 |
研究実績の概要 |
昨年度に実施した実験結果である、THP-1細胞にr-LVRNを添加することで、免疫寛容に重要な役割を果たす蛋白であるIDO1(Indoleamine 2,3-dioxygenase-1)が上昇すること、IDO1の上昇により培養上清のキヌレニン/トリプトファン比が上昇していること、ヒト単球でもr-LVRNによるIDO1の発現上昇することなどの成果をまとめ、論文を作成した。作成した論文はiScienceにアクセプトされた(iScience 26(9) 107692-107692 2023年9月)。
今年度は以下の実験成果を確認した。 1)rLVRNを作用させたTHP-1細胞の培養上清はT細胞系列の培養細胞であるJurkat cellのcell viabilityを低下させた。これは培養上清のキヌレニン/トリプトファン比の上昇がT細胞の機能を抑制していることを示唆する結果である。 2)IDO1の上昇メカニズムとしてIFNβの発現が関与していることを見出した。rLVRNはInterferon stimulated Genes (ISGs)の発現およびIFNβの発現を誘導する。さらにIDO1の発現はIFNシグナル伝達経路の阻害により抑制された。 3)妊娠中の末梢血単核球(PBMCs)にrLVRNを作用させ、IDO1/ISG15発現比を検討すると、出生体重のZ値とIDO1/ISG15比に負の相関関係があることが分かった。このことは胎児発育不全症例のPBMCsはrLVRNによるIDO1発現の反応性が不良であることを示唆し、rLVRNの反応性が胎盤機能を反映することが予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年9月まで研究留学しており、2023年10月より研究を再開したことと、再開後に臨床の業務が忙しくなったため研究へのエフォートが少なくなったことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
LVRNの作用がIFNシグナル系を介していることが分かったが、律速段階であるLVRN受容体は不明であるため、その同定について、候補分子のノックダウン実験をすすめる。 妊娠高血圧腎症の症例の集積および解析を進めるが、症例が少なく、合併症妊娠などを含めることを検討する、
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年9月まで米国へ研究留学しており、10月より研究を再開したこと、また臨床業務へのエフォート増加などから実験の進捗が遅れたために実験試薬・機材などについて未使用分が生じた。 今年度は検討できていなかった実験を進めることになるため、抗体や各種試薬、機器利用費などに使用する予定である。
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