isobaric tags for relative and absolute quantitation(iTRAQ)を用いて同定した、子宮平滑筋肉腫に高発現するKIF4Aという分子の機能解析を進めている。昨年度、 siRNA によるKIF4Aノックダウン細胞の細胞増殖率をMST-8アッセイで評価した結果、増殖が有意に抑制された(SK-LMS:-37.2±4.73%、SKN:-87.7±4.02%、SK-UT1- 28.1±3.00%、p<0.05)。また 、shRNAを用いてKIF4Aノックダウン細胞株を樹立し、ICRヌードマウスに皮下注射して腫瘍サイズの経時変化を評価したin vivo でも同様に、KIF4Aノックダウンにより腫瘍の増大を有意に抑制することを示した。(SK-LMS:1186±118mm3 vs 461±84mm3、SK-UT1:1704±441mm3 vs 514± 230mm3、p<0.05)また、ノックダウン株に対する細胞周期解析をおこなったところ、G2 / M期細胞の割合はKIF4Aノックダウンで有意に増加していた。この原因として、p-cdc2の脱リン酸化とCDC25の発現低下の関連が示唆されたため、RT-PCRでKIF4A knockdownによるcdc25Cの遺伝子発現の変化を評価したが、mRNAの発現量は変化がなく、分解の阻害に関与すると考えて、共免疫沈降、ユビキチンを介した分解阻害効果の検証を行ったが、いずれも有意ではなく、詳細なメカニズムは本研究期間中には明らかにできていない。また、1999-2021年までの当院の臨床サンプルでKIF4Aの発現評価を行ったところ、20/26例(77%)で発現が見られた。一方で、子宮平滑筋腫には発現はほとんど見られず、診断マーカーとしても応用の可能性が示唆された。
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