研究課題
本研究は、子宮内膜症性卵巣嚢胞および子宮内膜症関連卵巣癌におけるmiR-486-5pの機能を明らかにするため、子宮内膜症性卵巣嚢胞および子宮内膜症関連卵巣癌においてmiR-486-5pが関与していると予想される標的遺伝子において発現差の確認を行なっていたが、有意差を認める遺伝子はなかった。そこで我々は異なるアプローチ法から卵巣明細胞癌のバイオマーカーを特定することとした。組織滲出性細胞外小胞(Te-EV)を使用して、がん特異的なmiRNAを卵巣明細胞癌(OCC)のバイオマーカーとして特定するため、片側にOCC、対側に正常な卵巣をもつ4人の患者からTe-EVを採取した。Te-EVにおけるがん特異的miRNAを特定するために、OCC群と正常卵巣群から得られたTe-EVを用いてマイクロアレイ解析を行った。その結果、17個のmiRNA が正常卵巣群と比較してOCC群で過剰発現しており、それらのmiRNAをターゲットmiRNAとした。次に、OCC患者6例と、コントロール群として非定型子宮内膜増殖症(A E H)の患者4例から手術前後に血清を採取した。ターゲットmiRNAのうち、12個のmiRNAに対して特定のプライマーを作成し、OCC群とコントロール群の手術前後の血清miRNAを比較したところ、OCC群で6個のmiRNA(miR-200a-3p、miR-200b-3p、miR-200c-3p、miR200a-5p、miR-200b-5p、miR-30a-5p)が手術前と比較し手術後に有意に減少していたが、コントロール群では手術前後に有意差を認めなかった。以上より、これらのmiRNAは、卵巣がんの早期診断と検出のための潜在的なバイオマーカーとして役立つ可能性があると考えられた。
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