研究課題/領域番号 |
21K16795
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
河北 貴子 徳島大学, 病院, 特任准教授 (00724121)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子宮腺筋症 |
研究実績の概要 |
今までに報告されている腺筋症モデルマウスとしては、子宮内下垂体移植し、高プロラクチン血症を誘発することによって腺筋症を引き起こすものや選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)であるタモキシフェンによる新生児投与により子宮内でのエストロゲン作用により腺筋症の発症を誘発するモデルがある。腺筋症の発症において、様々な仮説があるが、子宮内膜の基底層組織が子宮筋層に直接侵入して成長することによって形成されるというのは、広く受け入れられている仮説である。子宮内膜が筋層内に侵入する要因の一つに子宮手術既往があり、今回研究代表者は、この仮説に基づき、子宮筋層内へ子宮内膜組織を外科的に移植することにより新しい子宮腺筋症モデルを作成している。ICRマウスを用いて、マウスの左子宮を摘出し、除去した内膜を右の子宮筋層に自家移植する方法で、子宮への外科的侵襲と子宮内膜が筋層に侵入する状態を再現している。子宮内膜移植後2週、4週、6週、8週経過した時点で、子宮組織や腹腔内環境の検討を行っている。子宮内膜移植後6週間経過した時点で、子宮筋層肥厚と子宮筋層内への内膜組織の生着を確認した。さらにPBSを筋層内に注入したコントロール群に比べ、子宮内膜移植後6週、8週経過した時点で内膜移植群でコラーゲンのmRNA量が増加していることが確認された。コントロール群においても子宮筋層内にPBSを注入する際に外科的侵襲を加えているが、腺筋症の発症は確認できず、腺筋症の発症においては内膜組織の混入が重要な要因であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在は、モデルマウスを用いて、腹腔内の炎症や上皮形質転換といった微小環境の解明に取り組んでいる。さらに妊娠時の子宮腺筋症様病変の変化や腹腔内の微小環境変化について検討している。腺筋症は不妊や不育とも関係しているため、妊娠率が低く、妊娠時の検討について、計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
妊娠時の検討を引き続き行うために、妊娠マウスの症例数を増やすことを検討している。子宮腺筋症モデルマウスの子宮では、TGF-βやインターロイキンといった炎症性サイトカインのmRNAが上昇していることが現在の研究から判明しており、このことが妊娠率に影響している可能性がある事から、抗炎症作用のある薬剤の投与による妊娠率の上昇の検討を行うこととしている。また、腺筋症合併妊娠マウス症例では、妊娠時のサイトカインの変化や腺筋症病変の変化について検討することとしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
妊娠率の低下から、実験がやや遅れているため次年度使用額が生じた。 今後は、妊娠マウスの症例数を増やし実験を進めるのと並行して、妊娠率の改善に向けた治療法も含めた検討を行い、その費用に使用する予定である。
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