進行子宮頸癌の予後は不良であり、新規治療戦略が求められている。申請者らはこれまで、婦人科癌のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織や血液から腫瘍DNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析を継続して行ってきた。これまでの経験を踏まえ、さらなる腫瘍特性の解明として、子宮頸癌FFPE組織からの抽出DNAを用いた“マイクロバイオーム(細菌叢)解析”という新たな視点から研究計画を立てた。近年、細菌およびその代謝物が炎症を引き起こし、炎症性疾患や悪性腫瘍の原因となると報告されているが、子宮頸癌FFPE組織を用いて腫瘍内マイクロバイオーム解析を行なった研究はまだ存在しない。本研究では16s rRNAを用いたマイクロバイオーム解析を行い、子宮頸癌組織内の細菌叢を構成する細菌種の同定および構成比率の違いを明らかにし、治療反応性も含めた臨床予後との相関をみる。さらに、遺伝子変異解析や癌微小環境解析も並行して行い比較検討することにより、新たな癌化メカニズムの解明に寄与する可能性もあり、重要な知見となる。
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