研究実績の概要 |
本研究は、卵巣がんの悪性化・進展にかかわる新規長鎖非コードRNAを同定し、そのRNAがRNA結合タンパク質と形成する複合体の実体と作用機序を明らかにして卵巣がんの新規診断・治療法の開発と臨床応用につなげることを目的とする。 現在までに卵巣がん臨床検体を用いた次世代シーケンス解析をもとに、卵巣がんの悪性化・進展にかかわる長鎖非コードRNAとしてovarian cancer long intergenic noncoding RNA 1 (OIN1)を新たに同定し、OIN1が卵巣がん細胞の増殖およびアポトーシスを調節することを明らかにした。また、OIN1の下流遺伝子としてアポトーシスにかかわる遺伝子であるras association domain family member 5 (RASSF5)とadenosine A1 receptor (ADORA1)を同定した。さらに、OIN1特異的siRNA核酸製剤の処理により卵巣がん異種移植マウスモデルにおける腫瘍の増殖が抑制されることを示し、OIN1特異的siRNA核酸製剤の卵巣がん治療への応用可能性を提唱した。本成果を国際学会において発表し (Keystone Symposia “Non-Coding RNAs: Biology and Applications (EK44)”)、国際英文誌Int. J. Mol. Sci.より原著論文として刊行した (Takeiwa T, et al. Int. J. Mol. Sci. 22, 11242, 2021)。
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