研究課題/領域番号 |
21K16800
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
山本 阿紀子 東京医科大学, 医学部, 講師 (50531224)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 癌遺伝子 / CRISPR / 卵巣癌 |
研究実績の概要 |
卵巣癌の細胞株であるOVSAHO にpMYC-promotor-Dendra2ベクターを導入した。予備実験にて定常的にOVSAHO はMYCの転写活性化が高いことを確認している。すなわち、pMYC-promotor-Dendra2ベクターが導入できた細胞はDendra2陽性を示す細胞が確認されており、これらの細胞をセルソーターにてセレクションし、陽性から陰性となる細胞を用いて解析を行う予定としていた。しかし、セレクションしてきたDendra2陽性細胞を、library導入前にcloningしている間に1割程度が陰性に変化することが確認された。そのため、陽性から陰転化する細胞を用いてスクリーニングすることは偽陰性が多く含まれることが予想され、本研究に用いることはふさわしくないと考えた。そこで、逆に陰性細胞を回収し、陽点化する細胞について解析を行うことにした。しかし、陰性細胞に対し、予備実験としてMYCのgRNAを感染させ、フローサイトメトリーを用いて解析したが陽転化する細胞が確認できなかった。そこで、先行研究で行った方法を、OVSAHOに反映し、CRISPR activation library(SAM)でMYCの転写活性を上げる分子のスクリーニングを行うこととした。SAM用の細胞を準備し恒常的にDendraを発現していない細胞をsortingした。SAMを導入し陽点化する細胞を回収した。回収できた細胞はごくわずかであったが、そのうち2クローン樹立できた。細胞からRNAを抽出解析し、候補となる分子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度には、GeCKOで得られた細胞から次世代シーケンスを用いて約100個程度の具体的な候補遺伝子を同定し、validationを行う予定としていた。しかしセルソーターを用いた細胞回収に必要なDendra2の発現が安定せず、Libraryを導入前の細胞の選択に繰り返し条件検討が必要であった。また、Libraryを導入した後のソーティングにおいても、Dendra2の不安定性から、回収できた細胞数が非常に少なかった。候補となる遺伝子は1つ同定でき、実験体系としてはうまく機能していることが予測できたが、有効なスクリーニング方法とは言い難いと考えた。そのため、ほかの卵巣がんの細胞株を準備しクリーニングが可能かどうかの予備実験を行ったため、予定の行程まで進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、予定のMYCの発現をコントロールする分子のスクリーニングで、候補となる遺伝子を一つ同定できた状態である。再度同様の実験を行っている途中であるが、ソーティングで回収する細胞の条件の変更と、回収方法について変更する予定としている。実験系としてはうまく機能していることが、これまでの検討にて判明したので、回収する細胞の数を増加させ、確実にcloningできる方法を検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シーケンスを用いた解析を2021年度に行う予定であったが、実験が遅れているため解析が遅れた。2022年度に解析する予定である。
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