卵巣癌は予後不良であり新たな治療法の確立が急務である。近年、癌の遺伝子解析とその結果に基づき治療方針を決定するがんゲノム医療の必要性が高まっている。癌遺伝子の一つであるMYCは、卵巣癌では他の癌腫に比し高頻度で増幅していることを鑑みると、卵巣癌の発生や進展、再発に重要な役割を担っていると予測され、新たな治療ターゲットとなり得るだろうと想定される。今回の研究によりMYCの転写活性を調節する分子が同定できたことは、卵巣癌におけるMYC発現制御システムの解明の一助となると予想され、さらにこの結果を応用しMYCをターゲットとした阻害薬の開発が進めば卵巣癌の新たな治療戦略として位置づけられると期待する。
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