研究課題/領域番号 |
21K16805
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
竹原 功 山形大学, 医学部, 助教 (80642496)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 小胞体ストレス / ミトコンドリア / 加齢卵 / 胚発育 |
研究実績の概要 |
本研究では小胞体ストレス応答を制御しミトコンドリア機能の改善を介して加齢卵の質の低下を改善させることができるかを検討する。最終的に生産率の改善をめざす。加齢による卵の質の低下は難治性であり、治療方法が確立されていない分野である。これまで我々は、ミトコンドリア機能の改善、小胞体ストレス応 答の制御をそれぞれ試みてきたが、治療成績の改善は部分的に留まっていた。とくに最終的な治療成果である生産率の上昇が認められなかったため、小胞体ストレス応答とミトコンドリア機能を組み合わせてターゲットとすることで「卵の若返り」をめざすことができるのではないかと考えている。 前年度は、まず卵子において小胞体ストレスがミトコンドリア機能に影響を与えるかについてマウスを用いて検討した。新鮮卵、加齢卵、小胞体ストレス処理をおこなった卵についてそれぞれミトコンドリア機能を評価し、小胞体ストレス処理によりミトコンドリア機能もまた低下傾向にあることを確認していた。本年度はひきつづき動物実験を行い、新鮮卵に比して小胞体ストレス処理卵においてミトコンドリア機能が有意に低下する結果をえた。一方、本年度に行った研究によって、新鮮卵に対してミトコンドリア機能障害を与えることにより、小胞体ストレス応答もまた惹起される結果もえることができた。 これらのことから卵子において、小胞体機能およびミトコンドリア機能にはクロストークが存在することが示唆され、これらをターゲットとした治療には相乗効果が期待されると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までの研究において、卵子において小胞体ストレス負荷によりミトコンドリア機能低下が引き起こされ、ミトコンドリア機能障害により小胞体ストレス応答が惹起されることが示唆された。今後は加齢卵においてそれぞれの機能改善をおこなうことでもう一方の機能改善が起きるかを検討し、最終的には両者をくみあわせた治療により胚発育の改善をめざす。前年度の段階では「やや遅れている」進捗状況であったが、免疫染色の方法手技などが確立し、順調に進行したため「おおむね順調に進展している」に修正したと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、小胞体ストレスがミトコンドリア機能に影響を及ぼしているかという側面のみから検討をすすめていく予定であったが、ミトコンドリア機能が小胞体ストレスに与える影響も追加検討することとし、本年度の研究結果でその影響についての結果をえることができた。次年度は加齢卵に対して小胞体ストレス改善薬を使用してミトコンドリア機能が、ミトコンドリア機能改善薬を使用して小胞体機能が改善するかを検討する。また、両者をくみあわせた治療をおこない胚発育が改善するかを検討する予定である。すでにプレデータとしては着手している。
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