現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3-4年度に予定していた実験ならびに仮説の検証は順調に遂行し得た。 具体的には; 1)実験動物を用いた解析:Tcell活性化物質であるantiCD3投与の早産モデルマウスにおいて、飽和水素水の強制飲水および自由飲水の併用が早産予防効果を有すること、子宮におけるCOX2発現や脾臓における各種炎症惹起性サイトカインの抑制効果を有するとの結果が得られた。一方で、antiCD3投与と同時に分子状水素を投与する治療効果の検証においては有意な差を示せなかった。同じく、分子状水素はプロゲステロン拮抗薬による早産は予防し得なかった。FCMにて子宮筋層よりCD4陽性細胞を回収しRNAseq解析を実施したが、意義ある結果を見出せなかった。 2)ヒト検体・情報を用いた解析:満期帝王切開症例を対象に無菌的にヒト羊膜・絨毛脱落膜を回収し組織培養。リコンビナントIL-26添加よりTNF-α、IL-6等のサイトカイン発現の有意な上昇を確認できた。健常人の末梢血単核球細胞を用いた実験においては予定していたTh17、Tregに加えてTh1細胞もFCMにて分離回収。antiCD3存在下に抗原提示細胞と共培養。分子状水素添加はTregの分化誘導に影響を与えることなく、Th17やTh1といったeffector T細胞を抑制する働きを有するとの結果を得た。なお、当初の計画どおりにTh17はCD3+,CD4+,CCR6+,CXCR3-分画、Th1はCD3+,CD4+,IFNγ+分画を持って、TregはCD3+,CD4+,Foxp3+分画を持って定義し、Th17のeffector化はIL26+orIL22+を、Tregのeffector化はFoxp3+hi&CD45RA-を持って定義した。ヒト妊婦糞便回収ならびに同妊婦における生体内水素濃度測定は現在サンプル回収中にある。
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