研究課題/領域番号 |
21K16819
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
河原 直紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70623495)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ARID1A / CDC6 / 卵巣明細胞癌 |
研究実績の概要 |
ARID1A変異の合成致死候補としてCyclin-E1(CCNE1)を同定し報告し、ARID1A遺伝子変異株であるTOV-21Gの皮下腫瘍移植モデルマウスにおいてもCCNE1遺伝子干渉は有意差を以って腫瘍増大抑制効果を持つことを証明した(19K09809)。CCNE1の影響をさらに明らかにするため、同スクリーニングで同定した候補遺伝子のうち細胞周期においてCCNE1と類似した作用点を持つCDC6(Cell Division Cycle 6)を用いて卵巣明細胞癌株、すなわちTOV-21G とKOC7c(ARID1A 変異株)、および RMG-IとES2(ARID1A 野生型株)にCCNE1 またはコントロールベクターを標的とするsiRNA をトランスフェクションした。CDC6の干渉は、ARID1A遺伝子変異株の増殖を選択的に抑制したが、ARID1A野生株の増殖は抑制しなかった。更に、ARID1A 野生型株に対して、ARID1A干渉を行った上でCDC6の追加干渉を行うとコントロールに比して有意差を以って細胞増殖を抑制することを示した。以上によってCDC6干渉はARID1Aタンパク量によって細胞増殖抑制効果が異なることを示し、合成致死候補として異論のないことを確認した。細胞周期解析において、TOV-21Gに対してCDC6を干渉するとG1期の増加を認めた。TOV-21GおよびKOC7cにおいてCDC6干渉を行い、継時的にカスパーゼ3/7とアネキシンVを蛍光にて評価すると、アポトーシス細胞数の割合がコントロールと比較して有意に増加することを確認した。一方、RMG-IとES2(ARID1A 野生型株)に対して、ARID1A干渉を行った上で、CDC6の追加干渉を行うと、コントロールに比してアポトーシス細胞の割合が増加する傾向を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外留学のために一時中断となったものの、帰国してから精力的に研究を行ったため。
|
今後の研究の推進方策 |
ARID1A遺伝子変異株であるTOV-21Gの皮下腫瘍移植モデルマウスにおいてCDC6干渉が腫瘍増殖抑制効果を持つことを確認する。 また、ARID1A遺伝子変異株であるTOV-21Gに対してCDC6干渉を行い抽出したタンパクをウエスタンブロット法によりCDC6が関わるタンパクの評価を行う。ARID1A遺伝子野生株に対してARID1A遺伝子を強く干渉した細胞から抽出したタンパクを用いて同様にCDC6に関わる蛋白の増減を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
開学留学のために中断していたため。
|