研究課題
卵巣癌オルガノイドバンクの検体を用いて、ex vivoにおいてPARP阻害薬に対する抵抗性獲得機構を明らかにし、抵抗性獲得を防ぐ薬剤を開発すること、BRCA1/2変異卵巣癌(高異型度漿液性癌)オルガノイドを用いてPARP阻害薬投与後のMinimal residual disease(MRD)におけるゲノム、トランスクリプトーム、エピゲノムの変化を解析し、抵抗性獲得の主要な分子機構を明らかにすること、抵抗性獲得を防ぐ低分子化合物および核酸医薬を開発することを目的に2023年度も研究を行った。前年度までに同定した遺伝子Aに関して、CRISPRノックアウトを行った高異型度漿液性癌オルガノイドを作成した。遺伝子Aのノックアウトによりオラパリブの感受性に変化があるかみたところ、明らかなオラパリブの感受性の変化は認めなかった。そこで、オルガノイドを用いた高スループット薬剤スクリーニングを行う方針とした。高スループット薬剤スクリーニングではエリムセルチブ、プロテアソーム阻害薬、ジナシクリブが併用効果の高い薬剤として抽出された。その中でATR阻害薬であるエリムセルチブがオラパリブと併用効果の最も高い薬剤であることがわかった。
2: おおむね順調に進展している
同定した遺伝子Aのノックアウトにより想定していたオラパリブ感受性の違いが検出できなかった。高スループット薬剤スクリーニングを行う方針とし、同定できたため論文を作成し近日中に投稿予定である。
遺伝子Aのノックアウトによりオラパリブの感受性の変化は認めなかったものの、オラパリブ長期投与により発現は上昇するため、その役割をトランスクリプトーム解析等で明らかにしていく。
高スループット薬剤スクリーニングを行う方針に転換し研究は進んだものの、当初の予定より遅れている。したがって次年度に研究を継続する方針とし、論文投稿後のリバイス実験などに用いる計画である。
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Int J Clin Oncol.
巻: 28 ページ: 1554~1562
10.1007/s10147-023-02398-8