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2021 年度 実施状況報告書

NRF2活性化モニタリングマウスを用いた内耳酸化ストレス障害の局在と病態の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K16825
研究機関東北大学

研究代表者

大石 哲也  東北大学, 大学病院, 特任助手 (30898995)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード内耳 / 酸化ストレス / NRF2 / シスプラチン難聴
研究実績の概要

内耳における酸化ストレス障害部位の局在を、NRF2活性化の検出を介して明らかにすることを目的に、遺伝子改変マウスであるCre/loxPシステムを用いたNeh2-Cre:tdTomatoマウスを利用して解析を行っている。
同マウスに強大音曝露、シスプラチン腹腔内投与、加齢といった酸化ストレス負荷を与えた所、内耳蝸牛におけるtdTomato発現細胞、すなわち、酸化ストレス障害を受けたと考えられる細胞を最も多く認めたのは、シスプラチン投与であった。この結果からシスプラチンによる内耳障害には酸化ストレスが大きく関与していると考えられる。更に、シスプラチン投与による蝸牛内のtdTomato発現細胞の分布を検証すると、有毛細胞やラセン神経節細胞にも発現は認めたが、血管条やラセン靱帯といった蝸牛側壁により多く発現している傾向であった。これは、シスプラチンの全身投与では、蝸牛において比較的血流分布が豊富な血管条やラセン靱帯に薬剤が到達しやすく、また残留性が高いため、同部位での酸化ストレス障害が生じやすいことが示唆される。
シスプラチンの副作用として良く知られている腎障害も、その発生機序に酸化ストレスが関与することが報告されているが、今回、同マウスに対するシスプラチン投与において腎臓の組織評価も行なった。腎臓においてもコントロールと比較し、tdTomato発現細胞が多く認められ、腎臓でもシスプラチンによる酸化ストレス障害が誘導されることが確認された。この結果から、同マウスがシスプラチン投与による全身臓器の酸化ストレス障害を適切に反映するモデルであると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Neh2-Cre:tdTomatoマウスを用いて、シスプラチン投与による酸化ストレス障害部位を検証する実験系を確立することができ、シスプラチン投与によって、これまで報告されている蝸牛や腎臓での酸化ストレス障害の発生を改めて確認することができた。
特に蝸牛においては、シスプラチン投与により酸化ストレス障害が生じやすい領域の解析を進めることができた。

今後の研究の推進方策

Neh2-Cre:tdTomatoマウスでの蝸牛における酸化ストレス障害部位の解析を、シスプラチン投与の実験系を中心に更に進める方針である。
また、WTマウスやNrf2ノックアウトマウスに対しもシスプラチン投与を行い、聴力、組織学的解析、特に血管条やラセン靱帯においては免疫染色等のより詳細な検討も行う。Nrf2ノックアウトによって特に血管条やラセン靱帯がより高度に障害されるかどうかを検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、解析するための実験系の確立に期間を要したため、必要な備品の経費が少なかったため。
次年度はより詳細な解析を開始するために、多くのマウスや試薬購入が必要であり、その結果を学会等で報告するための費用にも使用する計画である。

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公開日: 2022-12-28  

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