研究実績の概要 |
74例の中咽頭癌患者の血液とうがい液におけるHPVDNAの検出を行った。HPV16型に限ると、デジタルPCRを用いた血液中の検出は中咽頭癌で42例中39例(93%)、原発不明癌で6例中6例(100%)であった。GENOSERCH31によるうがい液では、中咽頭癌で39例中32例(82%)、原発不明癌で5例中1例(20%)であった。血液とうがい液を組み合わせるとHPV16型の48例全例で検出が可能であった。一方で、HPV16陰性中咽頭癌症例の検討では血液で32例中31例(97%)で検出されず、うがい液は29例中29例(100%)で検出されなかった。血液中のHPVDNAコピー数は病期や腫瘍体積と相関を認めたが、うがい液のHPVDNA検出の有無では相関を認めなかった。(Tanaka H et al, Performance of oral HPV DNA, oral HPV mRNA and circulating tumor HPV DNA in the detection of HPV-related oropharyngeal cancer and cancer of unknown primary, Int. J. Cancer, 2022) 現在、手術例で治療前の血液と治療後の唾液を用いた検討を行っている。手術後に断端陰性、その後無再発の症例では術後に血液と唾液共にHPVDNAは検出されなくなっている一方で、術後に追加治療を要した症例で術後の唾液中や血液中にHPVDNAが検出されている。
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