研究課題/領域番号 |
21K16834
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
勝見 さち代 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (60625565)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Cochlear Synaptopathy / Bisphosphonate / 騒音性難聴マウスモデル |
研究実績の概要 |
本研究は、騒音性難聴マウスモデル(in vivo)を用いて、第二世代Bisphosphonate であるZoledronateの難聴改善効果につき、生理学的ならびに組織学的に検討し、さらに、薬物作用機序について分子生物学的に解析し、Zoledronateのドラッグ・リポジショニングの可能性を探ることである。 騒音性難聴マウスモデルを用いて、騒音暴露24、48、72時間後にZoledronateもしくは同量のsalineを皮下投与し、聴力の生理学的評価として、暴露前・後、治療2週間後に、歪成分耳音響放射検査 (DPOAE: Distortion Product Oto Acoustic Emissions)、聴性脳幹反応 (Auditory Brain stem Response: ABR) を測定した。DPOAEs、ABR第I波を測定し、暴露前・後、治療後の聴覚閾値を定性的に、I波の振幅を定量的に評価すると、聴覚閾値に明らかな変化は認めなかったが、治療群においてI波の振幅が改善する傾向を認め、Cochlear Synaptopathyへの治療効果が示唆された。 また、ZoledoranateはMevalonate PathwayのPyrophosphate Synthase (FPPS)と競合拮抗しFPP、GGPPの合成を低下させ神経軸索延長やシナプス形成に重症な細胞シグナル伝達に関わるタンパク質のプレニル化を阻害する。蝸牛におけるZoledornateの作用機序を明らかにするため、コルチ器におけるFPPSの発現を免疫組織染色にて検討したところ、内有毛細胞、蝸牛神経細胞、支持細胞に発現していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Zoledronateの騒音性難聴に対する治療効果を検討するため、聴覚検査により難聴を生理学的に評価した。7週CBA/CaJマウスに97dBSPL・2時間の騒音を暴露し、騒音性難聴マウスを作製し、騒音暴露24、48、72時間後にZoledronateもしくは同量のsalineを皮下投与し、暴露前・後、治療2週間後に、DPOAE、ABRにて聴力を評価した。聴覚閾値を定性的に、I波の振幅を定量的に評価したところ、聴覚閾値に明らかな変化は認めなかったが、治療群においてI波の振幅が改善する傾向を認め(n=3)、Cochlear Synaptopathyへの治療効果が示唆された。 ZoledronateはMevalonate PathwayのFPPSと競合拮抗し、神経新生に重要なタンパク質のプレニル化を阻害する。蝸牛における薬物作用機序を解析するため、コルチ器におけるFPPSの発現を免疫組織染色にて解析したところ、内有毛細胞、蝸牛神経細胞、支持細胞に発現していることを確認した。 また、Cochlear Synaptopathyの組織学的解析のため、蝸牛を採取しwhole mountを作成し、抗Myo7a抗体(内有毛細胞の指標)、抗CtBP2 (C-terminal Binding Protein) 抗体(前シナプスの指標)、抗GluA2 (Glutamate receptor subunit A2) 抗体(後シナプスの指標)を用い免疫染色を行い共焦点顕微鏡で観察可能であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
Zoledoranateによる難聴改善効果を、DPOAE、ABRを用いて生理学的に検討しているが、今後、治療効果を統計学的解析するため、今後さらに動物数を重ねていく必要がある。 Cochlea Synaptopathyを組織学的に検討するため、騒音暴露2週間後に蝸牛を採取してWhole mountを作成し、前シナプスの指標となる抗CtBP2 抗体、後シナプスの指標となる抗GluA2抗体を用いて免疫組織染色を行い、共焦点顕微鏡で観察し、低・中・高周波数領域の内有毛細胞の基底外側部分の前・後シナプス数を測定し、内有毛細胞あたりのシナプスリボン数によりCochlea Synaptopathyの程度を定量評価し、治療群と非治療群とで比較検討する。 コルチ器におけるFPPSやFPPS作用点下流の生成物(Farnesyl Pyrophosphate: FPP、Geranyl-geranyl Pyrophosphate: GGPP)の騒音暴露前後やZoledronate治療介入前後の発現の変化をリアルタイムPCR、ウェスタンブロッティング、HPLCを用いて定量的に解析し、さらに治療群と非治療群とで発現を比較検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験は順調に行われているが、コロナウイルス感染症による物流の停止に伴い、抗体の購入が遅れた。そのため、次年度に購入予定である。
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