研究課題/領域番号 |
21K16836
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
綾仁 悠介 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師(准) (80816380)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 耳下腺癌 |
研究実績の概要 |
耳下腺癌は同一組織型でも異なる悪性度をもつ特徴があり、その分子機構については未解明の部分が多い。耳下腺癌の分子機構の解明と、高悪性度癌での術後追加治療の確立が耳下腺癌の予後を改善するため、その研究が急務である。 そこで、他の癌で予後不良因子として関わるTRKBに注目して解析した。TRK阻害剤であるラロトレクチニブが企業から承認申請されたばかりで、その臨床応用、適応拡大が期待されているという背景もある。 耳下腺癌におけるTRKBの発現パターンをリガンドであるBDNFと共に、患者癌組織の免疫染色により解析すると、BDNFもTRKBも、癌細胞だけでなく癌周囲細胞においても発現が認められた。癌周囲細胞のCAFを、ヒト耳下腺癌組織から、初代培養の癌細胞とCAFを単離して、癌細胞の動態に及ぼすCAFの影響をBDNF/TRKBに注目して解析した。その結果、CAFとの共培養で、癌細胞のEMTとBDNF発現が促進し、TRKB-specific inhibitorで癌細胞におけるSNAILの発現が抑制され、さらに、BDNF-induced cell migrationがTRK inhibitorsで抑制されることが分かった。 臨床サンプル23例の解析においてはTRKB発現は、中悪性のAdCCと比較して、高悪性であるSDCで有意に高かった。また、TRKBが高発現であることは、血管浸潤、リンパ節転移、および予後不良であることと有意に相関していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Patient Derived Xenograft(PDX)による動物実験が、COVID-19の流行の影響もあり、行いづらく、進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
患者サンプルから調整できている耳下腺癌CTOSに対して、抗癌薬のスクリーニングを施行する予定である。Patient Derived Xenograft(PDX)を用い、さらに解析を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験の遅れに伴い、次年度使用額が生じた。次年度はin vivoでPatient Derived Xenograft(PDX)マウスモデルの評価をするため、マウスの購入費用に使用する予定である。
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