本研究の目的はNRF2のミトコンドリア機能活性化の分子機構を解明することである。細胞外からグルタチオンパースルフィドを添加すると、細胞内のシステインパースルフィドが増加し、ミトコンドリア膜電位の増強と酸素消費の増加が観察された。NRF2の活性化でも同様の結果が観察された。NRF2の活性化と同時にNRF2の標的遺伝子であるシスチントランスポーターxCTの発現抑制またはCARS2阻害のいずれもミトコンドリア膜電位の増強と酸素消費の増加がキャンセルされた。故に、NRF2はxCTの発現増加によって細胞のシスチン取り込みを増加し、システインパースルフィドの生成を増加させてミトコンドリア機能を活性化する。
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