研究課題/領域番号 |
21K16851
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
野村 彩美 弘前大学, 医学研究科, 助教 (70897694)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アレルギー性鼻炎 / 腸内細菌叢 / 口腔細菌叢 / プロバイオティクス / 吸入性抗原 |
研究実績の概要 |
近年、アレルギー性鼻炎は先進国を中心として世界中で急速に増加傾向である。その理由の一つとして、衛生環境や生活習慣などの変化に伴う腸内細菌叢の割合の変化が考えられている。 腸内細菌は腸内の粘膜上皮を介して様々な免疫応答の惹起や代謝産物の産生により全身の免疫を調節すると考えられている。弘前大学では社会医学講座を中心として、岩木健康増進プロジェクト健診(以下、本プロジェクト)という青森県弘前市岩木地区に在住している20歳以上の全住民を対象とした健診を行っており、希望者が毎年約1000人参加している。本プロジェクトでは、生理・生化学的データ、社会環境データや生活活動データなど、約2000項目の多岐にわたるデータを招集している。次世代シークエンサーを用いた腸内・口腔細菌叢の16S rDNAの網羅的な解析も行っており、他の検査結果と併せた複合的な解析が可能である。 研究代表者らは腸内細菌叢の変化に着目し、本プロジェクトで得られたデータをもとに腸内細菌叢と吸入性抗原の関係とを網羅的に解析し、LactobacillalesやBifidobacterialesが腸内に多く、Bacteroidalesが腸内に少ないと、吸入性抗原の感作が有意に抑制されることを横断的に明らかにした。その後も食物とスギ花粉抗原への感作の関連などを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸内細菌叢の割合にも影響を及ぼす食物とスギ花粉抗原への感作を調べたところ、n-3系脂肪酸が多いとスギ花粉抗原へ有意に感作されにくいということがわかった。また、吸入性アレルギー性鼻炎の感作には腸内細菌叢のかかわりが強くみられたが、発症に関しては明らかな有意差はみられず、腸内細菌叢は感作に影響を及ぼしている可能性が考えられた。これらのことは、全国学会にて発表している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、腸内細菌叢や口腔内細菌叢とアレルギー性鼻炎との関連を検討していく。また、国内外の学会にてその成果を発表したり、論文投稿も予定したりしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存物品での対応としたため、当初予定額との差額差生じた。令和5年度は物品の充実により研究を進める予定である。
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