正常人及びADOA患者由来iPS細胞から作製した立体網膜組織を維持培地で50日まで培養し、Auto MACS proを用いてCD90 misrobeadsで立体網膜組織から網膜神経節細胞を単離した。JC-1 MitoMP Detection Kitを用いてミトコンドリア膜電位を染色したところ、神経突起中の抗膜電位のミトコンドリアが有意に減少していた。Almar blue assayで細胞生存率を比較したところ群間に明らかな有意差は認めなかった。この細胞に対してそれぞれ過酸化水素による酸化ストレスを負荷し、細胞生存率を比較検討したところ、ADOA群では正常群と比較して有意に細胞生存率が低下していた。ADOA群では酸化ストレスに対して脆弱であることが示唆された。またROS detection kitにて過酸化水素による酸化ストレスを付加した際のROSを測定したところ、DOA群で12時間後以降に有意なROSの発生を認めていた。また、正常人由来iPS細胞及びADOA患者由来iPS細胞及びOPA1遺伝子異常を修復したiPS細胞から既報に基づき立体網膜組織を作製した。分化誘導50日の立体網膜組織を接着培養し、神経突起伸長を比較検討した。OPA1遺伝子異常を修復することにより神経線維の密度が有意に上昇した。最も長い神経突起の長さに有意差は認められなかった。OPA1遺伝子は神経突起の密度に関与している可能性が高いことが示唆された。本研究結果からOPA1遺伝子は神経突起の密度、もしくはある特定の網膜神経節細胞の神経突起伸長に関与している可能性があり、ミトコンドリア密度の減少が影響している可能性が示唆された。
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