研究課題/領域番号 |
21K16891
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
前田 奈津姫 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (20748769)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 網膜色素変性 / カルパイン / 視細胞保護 / ペプチド療法 / ペプチド徐放デバイス |
研究実績の概要 |
網膜色素変性に代表される遺伝性網膜変性疾患の新規視細胞保護治療の開発を目的として、ミトコンドリアカルパイン-1を特異的に阻害することのできるペプチド(以下、カルパイン阻害ペプチド)を用いて視細胞変性を遅延させる効果を検証するために本研究を策定した。研究代表者の所属する研究室ではこれまでに網膜変性ラット(RCSラット)における網膜変性進行過程で網膜内にカルパイン活性が亢進することを明らかにした。さらに細胞内カルパインのうち、ミトコンドリア内に存在するカルパインがアポトーシス誘導因子(AIF)の活性化を通して細胞死に関与することも明らかにした。そしてミトコンドリアカルパインのアミノ酸配列からカルパイン自身を活性化するのに重要な働きを有するアミノ酸配列を明らかにして、その部位に競合的に働く10アミノ酸残基を有するペプチドを合成し、そのペプチドを外因性にラットに点眼投与することで視細胞変性を効果的に抑制できることを明らかにした。 それらの研究成果をもとに研究初年度の令和3年度にはカルパイン阻害ペプチドを徐放するデバイスを作成することを主たる目的とした。動物実験に関しては、本学大学院医学研究科附属動物実験施設の改修工事の影響もあり、年度内に実験を開始することができなかった。次年度以降の実験開始を視野に入れ、デバイスをラットの球結膜下に埋植する手技に必要な実体顕微鏡と画像保存のために必要な画像処理装置を整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度後半から研究者の産児休業とそれに引き続く育児休業によるやむを得ない理由により、令和3年11月19日から令和4年12月23日まで研究を中断している。令和4年12月24日から復帰して研究を再開する予定となっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年12月24日の研究再開後は直ちにロドプシン遺伝子改変を行った網膜変性ラットに対するカルパイン阻害ペプチド徐放デバイスの埋植実験に取りかかる予定である。視細胞保護効果の確認には光干渉断層計と網膜電図、それと電子顕微鏡を用いた形態的な評価を行う予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本学動物実験施設の改修工事と研究者自身の妊娠、出産、育児のために予定されていた実験の施行ができなかったため。育児休業の終了するのを待って、研究を再開する予定である。
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