研究課題/領域番号 |
21K16895
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上田 奈央子 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (90890955)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | AMD / reticular pseudodrusen / SDD / macular atrophy / choroidal thickness / drusen / geographic atrophy / RAP |
研究実績の概要 |
日本人の加齢黄斑変性患者において、reticular pseudodrusen(subretinal drusenoid deposits) を認める症例の年齢、性別、眼軸長、reticular pseudodrusenのサブタイプおよび局在、両眼性か片眼性か、脈絡膜厚、初診時視力、最終視力、最終眼底所見、ドルーゼン合併の有無と種類、後期加齢黄斑変性合併の有無、後期加齢黄斑変性の病型、治療内容等について、カルテ検索および画像データ解析によりデータを蓄積している。 遺伝学的背景については、対象症例のうちDNAが保存されている症例について、加齢黄斑変性と関連が深い一塩基多型であるARMS2 A69S(rs10490924)、CFH I62V(rs800292)、CFH Y402(rs1061170)の検索を行い、データと蓄積している。 長期経過については2年以上経過を追えた症例につき、病型別に治療経過(滲出性変化消失の有無、再発の有無)、視力経過、脈絡膜厚、萎縮の有無などを画像解析し、データを蓄積している。 Reticular pseudodrusen (subretinal drusenoid deposits) は後期加齢黄斑変性のリスク因子であることが知られているが、治療法のない萎縮型加齢黄斑変性や、両眼発症の頻度が高く予後不良な網膜血管腫状増殖(RAP)発症との関連が深いとされている。加齢黄斑変性には人種差があることが知られており、日本人におけるreticular pseudodrusenの報告はまだ限られている。臨床的特徴、遺伝学的特徴につきデータを収集し、日本人の特徴を明らかにすることは加齢黄斑変性の治療戦略を考える上で重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床的特徴については研究対象症例を選出し各項目につきデータ収集および画像解析を行っており、おおむね順調にデータの蓄積ができている。遺伝学的検索については順次行っている。解析にはさらにデータ収集および画像解析が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
日本人におけるreticular pseudodrusenの臨床的特徴については、各項目(年齢、性別、眼軸長、reticular pseudodrusenのsubtypeおよび局在、両眼性か片眼性か、脈絡膜厚、初診時視力、最終視力、最終眼底所見、ドルーゼン合併の有無と種類、AMD合併の有無、AMDの病型、後期AMD治療内容)について現在行っている画像解析およびデータ収集をさらにすすめ、AMDの病型別に差があるかどうかを検討し報告する予定である。 遺伝学的背景については、現在行っている一塩基多型の検索を継続し、データの蓄積をさらにすすめていく。 長期経過については2年以上経過が追えている症例を対象に現在行っているデータの蓄積をさらに進め、加齢黄斑変性の病型別にreticular pseudodrusenの有無により患者像、眼底所見、治療経過、視力予後などについて解析し、報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はCOVID-19の流行により、ほぼすべての学会がオンラインでの参加となったため旅費が生じなかった。2022年度はCOVID-19の状況によっては現地参加が可能となる見込みであり、学会参加にかかる旅費として使用する予定である。また、消耗物品およびデータ解析用のパソコンなどの購入に使用予定である。
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