• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

視覚情報処理回路成熟化に対するコリン作動性アマクリン細胞のギャップ結合の役割

研究課題

研究課題/領域番号 21K16910
研究機関日本医科大学

研究代表者

丸山 拓真  日本医科大学, 大学院医学研究科, ポスト・ドクター (90838103)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードコリン作動性アマクリン細胞 / 網膜 / ギャップ結合 / 生後発達 / コネキシン
研究実績の概要

ギャップ結合は、網膜における信号処理に重要な役割を果たしている。成体網膜では、アマクリン細胞の一種で網膜唯一のコリン作動性神経であるコリン作動性アマクリン細胞は、ギャップ結合を形成しないことが報告されている。しかし、コリン作動性アマクリン細胞と同様に方向選択性に重要な役割を果たすON-OFF型方向選択性神経節細胞は、生後の発達に伴い解消することが報告されている。そこで、コリン作動性アマクリン細胞も生後早期にギャップ結合を形成するかどうかを調べた。開眼前のコリン作動性アマクリン細胞は、ON型、OFF型ともに大きな膜容量を持ち、ON型は多数の網膜神経節細胞と結合していた。ギャップ結合阻害剤であるメクロフェナム酸は、開眼前のON型およびOFF型の膜容量を減少させた。さらに、ギャップ結合の構成要素であるコネキシンの特定のサブタイプは、生後の発達とともに有意に減少した。この結果は、コリン作動性アマクリン細胞は生後早期に特定のコネキシンを含むギャップ結合を形成ることを示唆している。また、そのギャップ結合は視覚経験とは無関係に生後発達とともに減少した。さらに、コリン作動性アマクリン細胞が形成するギャップ結合は、網膜波の駆動力に寄与する可能性も示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

コリン作動性アマクリン細胞の膜容量が生後発達に伴って変化することを早期に解析できたまた、ON型のコリン作動性アマクリン細胞とギャップ結合を形成する細胞腫の特定、コリン作動性アマクリン細胞が形成するギャップ結合の構成分子の検討もスムーズに進み、さらにコリン作動性アマクリン細胞が形成するギャップ結合と網膜波への関与も検討できた。そのため、順調に研究を推進することが出来たと考えている。

今後の研究の推進方策

メクロフェナム酸以外のギャップ結合阻害剤を使用して、コリン作動性アマクリン細胞への効果についての検討を予定している。また、ギャップ結合の調節に関与するとされるドーパミン受容体の影響を検討するため、コリン作動性アマクリン細胞が形成するギャップ結合に対するドーパミンD1型の作用のも検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う学会出張 (国内および国外)のオンライン開催等により、旅費が不要になったため。
研究成果を英語論文に投稿するために実施する次年度予定実験や解析ソフトウェアの導入に計上する。また、成果発表のために学会発表に関わる旅費に計上する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] P2X 2 receptors supply extracellular choline as a substrate for acetylcholine synthesis2021

    • 著者名/発表者名
      Maruyama Takuma、Mano Asuka、Ishii Toshiyuki、Kakinuma Yoshihiko、Kaneda Makoto
    • 雑誌名

      FEBS Open Bio

      巻: 12 ページ: 250~257

    • DOI

      10.1002/2211-5463.13332

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Starburst amacrine cells in the early postnatal development form gap junctions2022

    • 著者名/発表者名
      Takuma Maruyama, Toshiyuki Ishii, Sumiko Usui, Masumi Shimizu, Makoto Kaneda
    • 学会等名
      第99回 日本生理学会大会
  • [学会発表] The role of P2X2 receptor for Acetylcholine synthesis pathway2021

    • 著者名/発表者名
      Takuma Maruyama, Asuka Mano, Toshiyuki Ishii, Yoshihiko Kakinuma, Makoto Kaneda
    • 学会等名
      The Society of Neuroscience Meeting 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] P2X2 receptor-mediated novel acetylcholine synthesis pathway2021

    • 著者名/発表者名
      Takuma Maruyama, Toshiyuki Ishii, Asuka Mano, Yoshihiko Kakinuma, Makoto Kaneda
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi