研究課題/領域番号 |
21K16911
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
海津 嘉弘 福岡大学, 医学部, 助教 (50876521)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 光干渉断層血管撮影 |
研究実績の概要 |
近年、網膜灌流評価のための新たな眼底撮影 機器として光干渉断層血管撮影(Optical Coherence Tomography Angiography:OCTA)が開発され、将来の眼科診療のスタンタードになることが期待されている。しかしながら光干渉断層血管撮影はその基本原理から、検出閾値を下回る遅い血流の血管は描出できず、正確に網膜灌 流状態を把握することは困難である。糖尿病網膜症(Diabetic retinopathy:DR)において、すべての網膜血管を描出できておらず、我々は そのような領域が将来的に網膜虚血領域へ進展してゆくとの仮説を立てた。 本研究の目的は、複数の網膜スキャン間時間(Interscan Time : IT)設定で光干渉断層血管撮影を行 い、従来の撮影では検出できなかった血流の遅い網膜血管構 を描出・評価することで、糖尿病網膜症診療における有用な知見を探索することである。 今年度、眼科外来を受診した患者の中から、糖尿病網膜症を有する症例を応募し、同意説明書に沿って当研究の主旨を説明した上で、同意を得られた数十例の症例に対して、異なる網膜スキャン間時間設定での光干渉断層血管撮影撮影を行った。また撮影で得られた光干渉断層血管撮影画像を画像解析ソフトを用いて解析し、血流の遅い網膜血管の検出や形態的特徴の解析、その分布や量を評価を行った。加えて、網膜血管密度値や中心窩無血管野面積の定量を行い、統計ソフトを用いて糖尿病網膜症の病気によって差や傾向があるかを調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当研究の性質上、同一患者に対して複数回(最低でも15回)の光干渉断層血管撮影を行い、複数枚の画像を取得する必要がある。しかし撮影時に生じる角膜表面の乾燥、白内障や硝子体混濁等といった中間透光体の混濁による観測光の乱れ、患者の瞬目・体動などにより画像解析に足るクオリティーの画像が取得できないことも決して少なくない。そのため現在は研究参加症例の確保及び撮影を進めている最中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き外来受診患者様に対し当研究に関する説明・同意取得を行い、症例数の確保するとともに、光干渉断層血管撮影の画質向上にも努めていく。また解析に足るクオリティーの画像が取得できた場合には、なるべく早期に画像解析を行う。一定数のデータが集まり次第、適宜統計解析を行い、学会発表・論文執筆を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は解析に回せる画像確保が十分ではなかったため、画像解析ソフト・統計解析ソフトのアップデートを要さなかった。 次年度、必要に応じてこれらの新規購入を行う予定である。
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