研究課題/領域番号 |
21K16925
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
片山 文平 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 博士研究員 (50897379)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 光線力学療法 |
研究実績の概要 |
我々はこれまで、既存の抗生物質や消毒薬とは全く作用機序の違う光線力学療法(PDT)を、 MRSAと緑膿菌、それぞれ単独で感染させたマウス皮膚潰瘍に対して行い、その殺菌及び創 傷治癒促進効果を検討して研究してきた。昨年度は、MRSAおよび緑膿菌を混合培養し、これまでと同様の条件でPDTにて殺菌できるかどうかを検討した。具体的には、混合培養した状態に、0.5%ALA,0.005%EDTA-2Na、410nmLED(9J/cm2)でPDTを行い、総菌量を測定し、総菌量は有意に減少し、各細菌にのみ効果がある抗生物質を併用し、in vitroでは、菌交代現象が起こっていないことがわかった。 本年度は、実際に糖尿病マウスの背部に皮膚潰瘍を2個作成し、一方を感染させていないコントロール潰瘍、もう一方を、MRSAと緑膿菌を1x10の10乗CFUをペレット状にしたものを接菌し、多剤耐性菌感染皮膚潰瘍として作成した。結果は、創傷治癒遅延が有意におこり、感染皮膚モデルとして使用できることがわかった。7日目の感染潰瘍面のスワブを顕微鏡下で観察したところ、グラム陰性、陽性両方の菌が観察され、混合感性が起こっていることがわかった。現在は、混合感染皮膚潰瘍に対してALA軟膏のみを塗布した群と、感染していない潰瘍にALA軟膏を塗布した群の創傷治癒の差を観察しており、ALA軟膏のみでは、創傷治癒に関してコントロールと比較して、有意差を生じないことを確認中である。今後は、これに410nmの光源を使用して光を当てることにより、光線力学療法を行い、有用性を証明する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivoでの混合感染を成功させ、コントロールと有意差があることを証明し、モデルマウスとして使用できることがわかった。最終年度は、このモデルマウスにPDTを行うことにより、PDTが薬剤耐性菌混合感染皮膚潰瘍に対しても、有効であることを証明するのみであるので順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、最終年度は、in vivoにおいて混合感染皮膚潰瘍に対してPDTを行い、有用かどうかを判定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、マウスなどに多くの費用がかかったため、昨年よりも物品費が多く必要となった。
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