研究課題/領域番号 |
21K16937
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
守谷 崇 昭和大学, 歯学部, 助教 (70849059)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 除脳動脈灌流標本 / 電気刺激 / 嚥下 |
研究実績の概要 |
研究の目的:除脳動脈灌流標本を用いて、イミダプリルの作用メカニズムを解析し、嚥下の増大をコントロールする神経回路を解明することを検討している。これらを明らかにすることは、嚥下障害の新たな治療法につながると考えられる。1.イミダプリル投与による嚥下の増大に関与する末梢神経の同定:嚥下を誘発する求心性情報を、嚥下中枢パターン神経機構に伝えている上喉頭神経と舌咽神経のいずれかの神経を切断し、イミダプリルを投与することによる注水嚥下の変化を評価した。 その結果、上喉頭神経を切断してもイミダプリルの投与により嚥下活動の増大を示したのに対し、舌咽神経の切断によりイミダプリルを投与しても明らかな嚥下活動の増大を示さなかった。この結果により、イミダプリルの投与による嚥下活動の増大には舌咽神経が関与していることが明らかになった。2.電気刺激により誘発した嚥下に対するイミダプリルの効果の解明:1で同定された末梢神経に対し電気刺激を行うことで、同様の効果を得られるか評価した。その結果、電気刺激強度や刺激回数を変化させ、上喉頭神経に対しにイミダプリル投与前後で評価しても嚥下の増大は認めなかった。現在、舌咽神経神経に対し電気刺激をさせ嚥下の増大を評価している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
世界情勢の影響により、ラットの使用制限および海外からでしか入手できない薬品の調達が遅れていることが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、舌咽神経と上喉頭神経を同時に電気刺激を与え嚥下の変化を評価していく予定である。 また、その結果次第で蛍光的に神経活動を可視化できるCaセンサー(GCaMP)を使用したリアルタイムイメージングを用いて延髄を蛍光的に神経活動を観察し、どの部位が嚥下に一致して活動するかを解析することで、嚥下中枢パターン神経機構の存在部位のスクリーニングを行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用残高が生じた理由として、海外から購入する薬品もあり、製造停止もしくは在庫確認等で購入の目途がいまだたたないものもあるため生じた。また、次年度の使用計画としては標本作成の際に必要な薬品およびラット購入に使用する予定である。また、途中経過であるがこれまでの論文作成も徐々に行っていくため、次年度の使用金額が生じた。
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