研究課題/領域番号 |
21K16941
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
土谷 麻衣子 帝京大学, 医学部, 助教 (60895027)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 扁平上皮癌 / エクソソーム / 細胞外小胞 / 破骨細胞 |
研究実績の概要 |
口腔癌治療の第一選択は手術療法であり、特に、進行癌に対する顎骨切除術の施行は、機能面および審美面において患者のQOLを著しく低下する。また、進行口腔癌はしばしば予後不良であり、顎骨浸潤の有無は重要な予後因子の一つである。しかしながら、悪性腫瘍による骨吸収機構のメカニズムは未だ不明な点も多く、早急な機序解明が望まれている。 本研究は、口腔癌の顎骨浸潤の機序を解明するべく、in vitroにおいて、原発部位や悪性度の異なる3種の口腔扁平上皮癌細胞株を用いて、破骨細胞誘導能を検討している。実験結果からは、口腔扁平上皮癌による破骨細胞誘導は、破骨細胞前駆細胞を標的として生じること、分化した破骨細胞は骨吸収能を有することが確認された。また、口腔扁平上皮癌細胞の Conditioned medium のみならず、口腔扁平上皮癌細胞の培養上清より回収したエクソソーム(細胞外小胞)にも破骨細胞誘導能が認められた。さらに、エクソソーム分泌阻害剤を添加した口腔扁平上皮癌細胞と破骨細胞前駆細胞を共培養したところ、阻害剤を添加しなかったものに比して誘導される破骨細胞数が減少することから、破骨細胞誘導に口腔扁平上皮癌細胞由来のエクソソームが関与することが示唆された。 上記の結果を踏まえ、口腔扁平上皮癌細胞由来の Conditioned medium およびエクソソームに含有される破骨細胞誘導因子を今後同定していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属機関異動に伴い研究環境が変わったため、体制の立て直しが必要となった。体制を整えるまでの手配に時間を要したのに加え、COVID-19蔓延に起因する物流の滞りもあり、研究全体の進捗状況はやや遅れている。現在は、すでに新たな体制が整備されており、実験を再開している。
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今後の研究の推進方策 |
異動に伴い、当初の予定とは異なる条件設定が必要となったが、本年度はそれに基づき口腔扁平上皮細胞株の Conditioned medium のプロテオーム解析やエクソソームのマイクロアレイ解析を行い、破骨細胞誘導因子の検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属機関異動に伴い、実験の進行に遅れが生じたため。また、計画当初に購入予定だった機器が異動先の所属機関に導入されており、購入の必要がなくなったため。本年度では、当初予定していた実験を順次進めていく予定である。
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