研究実績の概要 |
近年、様々な組成の歯内療法用生体活性材料が製品化されている。生体活性材料はアパタイトを材料表層に形成することにより、高い封鎖性と硬組織伝導能を発揮するため、アパタイト形成能の高低は各材料の臨床的有用性に直結する。本研究は、独自のラット皮下移植モデルを用いて、各種歯内療法用生体活性材料のin vivo-アパタイト形成能を網羅的に解明すると共に、その所見を活用し、in vivo-アパタイト形成能の推定に適した新規in vitro試験法の確立を目指したものである。本年度は研究の第一段階として3種類の生体活性材料のin vivo-アパタイト形成能の評価から開始した。その結果、このうち1種類はラット皮下組織中でアパタイトを形成したものの、他2種類はアパタイトを形成しなかった。また、この結果は旧来の疑似体液を用いたin vitro試験から予測不可能であった(RSI Belal et al. Comparison of calcium and hydroxyl ion release ability and in vivo apatite-forming ability of three bioceramic-containing root canal sealers. Clin Oral Investig. 2022, 26(2):1443-1451.)。 新規in vitro試験法の確立に関しては、1g/L, 5g/L, 10g/Lの3種類の濃度のアルブミンを含む疑似体液中での生体活性材料のアパタイト形成挙動を観察した。その結果、アパタイト形成はアルブミンの濃度依存的に阻害されることがわかった(Edanami N et al. Apatite-Forming Ability of Flowable vs. Putty Formulations of Newly Developed Bioactive Glass-Containing Endodontic Cement. Applied Sciences. 2022, 11(19), 8969)。この知見は今後、適切な新規in vitro試験法を検討する上で応用可能である。
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