研究課題/領域番号 |
21K16966
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
枝並 直樹 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80804567)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ハイドロキシアパタイト / 生体活性 / 歯内療法 |
研究実績の概要 |
これまでに多数の歯内療法用生体活性材料が開発され、現在広く臨床使用されている。これらの材料は、アパタイトを材料表層に形成することにより、高い封鎖性と硬組織伝導能を発揮すると考えられている。しかしながら、実際にこれらの材料を生体内に埋入し、アパタイト形成能を評価した研究はわずかである。本研究は、独自のラット皮下移植モデルを用いて、各種歯内療法用生体活性材料のin vivo-アパタイト形成能を網羅的に解明すると共に、その所見を活用し、in vivo-アパタイト形成能の推定に適した新規in vitro試験法の確立を目指したものである。本年度は研究の第二段階として13種類の市販されている生体活性材料のin vivo-アパタイト形成能を評価した。その結果、このうち6種類はラット皮下組織中で検出可能な量のアパタイトを形成しなかった(edanami et al. In Vivo Assessment of the Apatite-Forming Ability of New-Generation Hydraulic Calcium Silicate Cements Using a Rat Subcutaneous Implantation Model. J. Funct. Biomater. 2023, 14(4), 213)。 このような網羅的in vivo評価の結果を元に、適切なin vitro試験法を模索した。昨年度の成果から、疑似体液中でのアパタイト形成は、アルブミンにより濃度依存的に阻害されることが判明している。このため、本年度は各種アルブミン濃度の疑似体液を用いたin vitro結果と、in vivo試験の結果を比較した。10g/Lまたは40g/Lのアルブミン含有疑似体液中での歯内療法用生体活性材料の動態は、in vivoでの動態にかなり近似していたが、完全には一致しなかった(未発表データ)。今後は、他のタンパク質の添加など、より複雑な条件での検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
網羅的なin vivo-アパタイト形成能の評価は終了したが、in vivo-アパタイト形成能を推定するためのin vitro試験法の確立には、さらなる検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
10g/Lまたは40g/Lのアルブミン含有疑似体液は、国際標準の無機疑似体液と比べ、in vivo-アパタイト形成能の推定に適していた。この溶液をベースに、複数のタンパク質の添加や炭酸イオン濃度の調整等を行い、さらに有効な試験溶液の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vivo-アパタイト形成能の網羅的評価に当初の予定より時間がかかり、新規in vitro試験法の検討への着手が遅れた。また、研究器具の効率的な活用により、当初の予定より少ない購入量で実験を行う事ができた。これらの理由により、次年度使用額が生じている。
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