• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

マクロファージ極性変化により誘導される可逆性歯髄炎の特異的創傷治癒メカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K16967
研究機関大阪大学

研究代表者

小道 俊吾  大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (40804456)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード可逆性歯髄炎 / 不可逆性歯髄炎 / マクロファージ / 創傷治癒
研究実績の概要

研究実施計画に基づき、歯髄炎に罹患した歯髄組織におけるM1およびM2マクロファージの極性変化について、ラットを用いた動物実験系におけるう蝕由来歯髄炎モデルを用いて評価をおこなった。
(1)う蝕由来ラット歯髄炎モデルの作製
2週齢Sprague DawleyラットにStreptococcus mutansを経口接種し、高スクロース含有飼料にて飼育することで、ラットにう蝕を誘発した。う蝕の進行をマイクロCTにてモニターしつつ、細菌接種開始後約4週間程度で可逆性歯髄炎が発症し、約6週間程度で不可逆性歯髄炎の発症を認めた。
(2)可逆性歯髄炎および不可逆性歯髄炎発症ラット歯髄における炎症状態の免疫組織化学的評価
可逆性・不可逆性歯髄炎双方において、う蝕に近接した歯髄組織においてPCNA陽性細胞の集積が観察されたが、不可逆性歯髄炎においてより強い発現を認めた。可逆性歯髄炎では歯髄組織中の広範囲においてM2マクロファージ(CD68+, CD206+)がM1マクロファージ (CD68+, CD206-)と比較して強発現を示したのに対して、不可逆性歯髄炎ではM1マクロファージがM2マクロファージよりも強く発現していた。さらに、露髄を伴うような深いう蝕に罹患した不可逆性歯髄炎においては、露髄部直下ではM1マクロファージのみ発現を認めたが、歯髄内部ではM2マクロファージも観察された。
以上の結果から、ラット可逆性・不可逆性歯髄炎モデルにおける、M1およびM2マクロファージの発現特性が明らかとなり、歯髄炎並びに創傷治癒過程におけるM1およびM2マクロファージの機能が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究開始当初は可逆性歯髄炎のみを対象とした評価を想定していたが、初年度に不可逆性歯髄炎モデルの確立にも成功した。
一方、初年度の研究実施計画において、歯髄炎に罹患したラットへの直接覆髄実験ならびに覆髄後の歯髄組織における免疫組織化学的評価を予定していたが、十分な結果を得ることができなかった。
歯髄炎モデルの作製については、当初の計画以上の結果が得られたが、覆髄実験について十分な結果が得られなかったため、全体的な状況としてはおおむね順調と自己評価したものである。

今後の研究の推進方策

前年度に評価完了予定であった、歯髄炎罹患ラットへの直接覆髄実験を継続するが、当初の予定では可逆性歯髄炎のみ覆髄対象としていたが、今後は不可逆性歯髄炎に罹患した歯への歯髄保存療法を実施し、その後の歯髄における免疫組織化学的検索により、ラット歯髄の創傷治癒におけるM1マクロファージおよびM2マクロファージの機能について詳細に評価することを目指して実験を展開予定である。
さらに、歯髄炎を発症したラット歯髄組織を回収し、歯髄炎のバイオマーカー検索を実施予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Biological properties of lithium-containing surface pre-reacted glass fillers as direct pulp-capping cements2022

    • 著者名/発表者名
      Ali Manahil、Okamoto Motoki、Watanabe Masakatsu、Huang Hailing、Matsumoto Sayako、Komichi Shungo、Takahashi Yusuke、Hayashi Mikako
    • 雑誌名

      Dental Materials

      巻: 38 ページ: 294~308

    • DOI

      10.1016/j.dental.2021.12.011

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Evaluation of inflammatory changes during wound healing process in caries-stimulated dental pulp2021

    • 著者名/発表者名
      Huang H, Okamoto M, Watanabe M, Matsumoto S, Moriyama, K, Komichi S, Takahashi Y, Hayashi M
    • 学会等名
      第69回国際歯科研究学会日本部会 (JADR) 総会・学術大会
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi