現在、インプラント治療で用いられるインプラント体は、主に生体不活性材料で作製されており、骨への直接的な結合であるオッセオインテグレーションにて 支持を得ている。一方で、生体不活性材料は骨と化学的に結合しないため、生体活性材料でのコーティングにより、インプラント体を骨へ化学的に結合させる研 究が数多く行われている。また、歯根膜を持たないインプラント体は、歯根膜由来のバリア機構や固有感覚が存在しないため、細菌感染を生じやすく、過度な咬 合圧の原因となることもある。これらの欠点を補うため、歯根膜とインプラント体との複合体である「バイオハイブリッドインプラント(BioHI)」の開発が進め られている。申請者は既に、バイオ3Dプリンタを応用し、未分化なヒト歯根膜クローン細胞株 (1-17細胞株) を三次元的に積層することで、歯根膜同様に多層の 細胞から構成されるチューブ型構造体 (1-17TB) の作製に成功している。そこで本研究では、様々な材料から作製したインプラント体と1-17TBの複合体(1-17TB- IMP)を作製し、それらについて分子生物学的解析を行うことで、1-17TB-IMPがBioHIとして機能するかについて検証を行った。
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