研究課題
先行研究でアメロジェニンが核内移行しヒストン修飾を誘導することで、マクロファージによる抗原提示を抑制することを初めて見出した。しかし、アメロジェニンが核内に移行した後、どのようなエピジェネティック制御を介して免疫抑制と創傷治癒を促進するのかは不明である。本研究はアメロジェニンが免疫応答や創傷治癒等に与える影響、および分子メカニズムを解明するため、アメロジェニンの核内移行後のヒストン修飾における作用点の解明、また人為的にアメロジェニンの活性増強が可否を検証する。さらにこれらの結果より、アメロジェニンの投与による新しい歯周組織再生療法の開発と共に、難治性疾患の新規治療確立に向け研究の展開を図る。現在までの研究成果は以下の通りである。マウス皮膚移植モデルを作成し、アメロジェニンによるT細胞を介した拒絶反応への効果を検証している。具体的には、BALB/cマウスからC57BL/6Jマウスへ皮膚移植を行うことで拒絶反応を誘導させ、その過程でのアメロジェニンの効果を探索する。結果についてはまだ解明途中である。
3: やや遅れている
培養細胞の細胞機能解析においてアメロジェニンの標的の詳細は判明しつつあるが、動物実験の成果は遅れているため、上記区分とした。
歯周組織再生療法で臨床応用されているアメロジェニンは抗原提示を抑制することで、Th1細胞による細胞性免疫を中心とした免疫応答の発動を制御し、結果的に外科処置後の創傷治癒を促進させている可能性を見出した。培養細胞の細胞機能解析は判明したため、今後はマウス皮膚移植モデルを作成し、アメロジェニンによるT細胞を介した拒絶反応への効果をさらに検証する予定である。
【理由】本年度は培養細胞実験が中心で、経費のかかる動物実験がやや遅れている。動物実験の研究を次年度中心に行なうため、これを次年度に繰り越した。【使用計画】マウス皮膚移植モデルを作成し、アメロジェニンによるT細胞を介した拒絶反応への効果を検証する。具体的には、BALB/cマウスからC57BL/6Jマウスへ皮膚移植を行うことで拒絶反応を誘導させ、その過程でのアメロジェニンの効果を探索する。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
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