研究課題/領域番号 |
21K16976
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高井 瑞穂 (山崎瑞穂) 日本大学, 松戸歯学部, 専修医 (20822620)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アメロチン / 接合上皮 / miRNA / TNF-α / IL-1β |
研究実績の概要 |
ヒト歯肉上皮様細胞株Ca9-22細胞をIL-1β(1 ng/ml)またはTNF-α(10 ng/ml)で刺激し、miR-150、miR-200bおよびmiR-223の発現量の変化を解析した。Ca9-22細胞にmiR-150、miR-200bおよびmiR-223発現プラスミドをそれぞれ導入し、IL-1β(1 ng/ml)またはTNF-α(10 ng/ml)で12時間刺激後のAMTNのmRNA発現量をqPCRで解析した。さらに、miR-200b発現プラスミドを導入したCa9-22細胞をTNF-α(10 ng/ml)で刺激し、IKKβのmRNAおよびタンパク発現量をqPCRおよびwestern blotで解析した。ヒトAMTN遺伝子プロモーター配列を含むルシフェラーゼ(LUC)プラスミドにmiR-200bの結合部位を含むAMTN 3’-UTR配列を挿入し、miR-200b発現プラスミドと共にCa9-22に導入後、TNF-α(10 ng/ml)で12時間刺激しLUCアッセイを行った。 Ca9-22細胞をIL-1βまたはTNF-αで12時間刺激すると、miR-150、miR-200bおよびmiR-223発現量は増加した。Ca9-22細胞におけるIL-1βまたはTNF-α誘導性のAMTN mRNA発現は、miR-150、miR-200bまたはmiR-223過剰発現によりそれぞれ抑制された。Ca9-22細胞をTNF-αで刺激するとIKKβ mRNAおよびタンパク量は増加したが、miR-200bを過剰発現させると抑制された。AMTN 3’-UTR LUCプラスミドをCa9-22に導入しTNF-αで刺激するとLUC活性は増加し、miR-200b過剰発現により活性上昇が抑制され、IKKβおよびNF-κB阻害剤存在下でほぼ完全に抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト歯肉上皮細胞Ca9-22におけるmiR-150、miR-200bおよびmiR-223発現量はIL-1βまたはTNF-α刺激によって増加することが明らかになった。ヒトAMTN 3'-UTRの解析を行い、miR-150、miR-200bおよびmiR-223の結合予測部位を検索した。さらに、それらの配列を含むルシフェラーゼコンストラクトの作製に成功し、ルシフェラーゼアッセイを行った。TNF-α刺激によって増加したルシフェラーゼ活性は、miR-200bの過剰発現により抑制されることが確認できた。また、miR-200bの標的遺伝子を検索し、TNF-αにより活性化されるNF-κB経路中のIKKβのmRNA量およびタンパク量がmiR-200b過剰発現により抑制されることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
作製したヒトAMTN 3'-UTRルシフェラーゼコンストラクトを用いて、miR-150およびmiR-223がヒトAMTN遺伝子転写に及ぼす影響についても解析を行う。また、miRNA発現プラスミドを導入したCa9-22細胞において、AMTN抗体を用いた免疫蛍光染色を行い、細胞内でのAMTNタンパクの局在の変化を解析する。さらに、miR-150およびmiR-223の標的となる遺伝子の解析を行い、ヒトAMTN遺伝子転写調節のシグナル伝達経路における間接的な影響についても解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫蛍光染色に使用する抗体の検討に時間を要し、年度内の購入を見送ったために次年度使用額が生じた。翌年度に請求した助成金と併せて抗体を購入し使用する予定である。
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