研究課題/領域番号 |
21K16977
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
崔 慶一 日本大学, 歯学部, 専修医 (80843151)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ユニバーサルアドヒーシブ / 2ステップ接着システム / ボンディング材 / コンポジットレジン / 接着疲労耐久性 |
研究実績の概要 |
接着耐久性の評価としては,臨床研究が最も信頼性が高いとされているものの,実施には多くの困難が伴う。一方,口腔内環境を実験室でシミュレートした接着耐久性試験の多くは特定因子に劣化要因を限ったもので,必ずしも口腔内環境を反映しているとは言い難い。そこで,申請者は接着界面で生じる加水分解あるいは温熱刺激などの劣化因子と最大破折抗力以下の繰返し荷重を負荷した接着疲労試験を組み合わせることによって接着界面で生じるバイオロジカル・バイオメカニカルな接着耐久性試験のモダリティを構築することで複合的な接着耐久性試験から検討する。 令和3年度では,接着直後から24時間後までの接着強さおよびアドヒーシブのヌープ硬さを測定し、その推移から検討を行った。 ウシ下顎前歯歯冠部を象牙質平坦面が得られるように耐水性SiCペーパーの320番まで研削し,これを被着面とした。歯面処理に際しては,異なる接着システムとユニバーサルアドヒーシブ応用型次世代接着システムを用いて比較対象とした。ここに内径2.38 mm,高さ2.0 mmの接着試験用治具を設置し,コンポジットレジンを填塞したものを接着試験用試験片とした。この試験片に対して5分,1時間,6時間,12時間,24時間経過時の条件を設定し,各条件の試験片に対し剪断接着試験を行った。また,破断した試験片に関しては,走査型電子顕微鏡を用いて破断面の様相について観察した。 さらに,現在長期水中浸漬,温熱負荷,次亜塩素酸水溶液浸漬といった異なる劣化条件を設定して接着疲労耐久性試験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ユニバーサルアドヒーシブ応用型次世代接着システムの接着耐久性と接着メカニズムの解明にあたり,申請者はアドヒーシブ層の硬さに着目し,異なる接着システムにおけるアドヒーシブのヌープ硬さと接着力の相関について検討が必要であると考えた。接着耐久性を検討する前準備としてこれらの基礎的研究を追加して行った。接着疲労耐久性についても引き続き研究を進めており,実験計画はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度では前年の研究結果を踏まえ,引き続き異なる劣化条件を設定して接着疲労耐久性試験を行う。さらに接着界面の微細構造の観察および化学的分析を行う。 接着疲労耐久性試験においては接着試験用試片と同様に試験片を作成し接着疲労耐久性試験片とする。この試験片に対して長期水中浸漬,温熱負荷,次亜塩素酸水溶液浸漬の3つの劣化条件を設定し負荷する。所定の保管期間が終了した試験片に対し,接着疲労耐久性試験を行う。試験片に対し,周波数10 Hzの正弦波を50,000回負荷する。荷重条件としては,接着試験から得られた最大荷重の約50%を最初の試験片に負荷し,規定回数まで生存した場合は次の試験片に10%増加した荷重を,破断した場合は次の試験片に荷重を10%減ずるstair case methodを用いる。接着疲労耐久性の算出は,規定の回数に達する前に破断した試験片の個数および破断時の荷重から接着疲労耐久性を求める。また,破断した試験片に関しては,走査型電子顕微鏡を用いて破断面の様相について観察する。 また,劣化ストレス負荷試験後の試験片の接着界面を走査型電子顕微鏡を用いて観察する。接着界面の微細構造を観察することで,ユニバーサルアドヒーシブ応用型次世代接着システムの接着メカニズムに検討を加える。また,ユニバーサルアドヒーシブ応用型次世代接着システムの接着界面近傍のXPS分析を行う。象牙質接着においてはエッチングモードの違いによって接着界面に残存しているハイドキシアパタイト量が異なるため,XPS分析を行うことで歯質と機能性モノマーの化学的なインタラクションの違いを明らかとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大による学会の規模縮小や中止に伴い,予定していた学会出張ができず旅費は使用しなかった。しかしながら研究経過は順調であり,追加実験も行ったため物品費として予算を使用した結果,交付決定額と支出額に差額が生じた。 繰越金と令和4年度助成金を合わせて,XPS分析や電子顕微鏡観察に用いる消耗品をはじめとした実験材料の追加購入に用いる予定である。
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