研究課題/領域番号 |
21K17006
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
岡田 宗大 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 非常勤講師 (10877096)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | FGF-2 / 炭酸アパタイト / 顎骨増大 / インプラント |
研究実績の概要 |
本研究は、水平・垂直的に吸収した顎骨に対する顎骨増大とインプラント同時埋入の術式の構築を目的としている。2022年度はインプラント同時埋入法に使用する骨補填剤として、近年開発された炭酸アパタイトに着目した。 炭酸アパタイトはβリン酸三カルシウムより吸収速度が遅く、ハイドロキシアパタイトより吸収速度が速いという特徴があり。 インプラント周囲の顎骨増大などに有効であることが期待される。雄の一歳齢のビーグル犬6頭を使用し、下顎両側第三、前臼歯の抜歯を行なった。抜歯後12週に深さ5mm,近遠心幅4mmの1壁性骨欠損を外科的に作製し、実験群では炭酸アパタイト(CO3Ap)、陽性対照群としてβリン酸三カルシウム(β-TCP)、陰性対照群として欠損のみ(Sham)の3群を設定した。術後8週で計画的安楽殺を行った。観察期間全体を通して、手術部位の著名な炎症や感染所見などの有害事象は観察されなかった。採取した標本はマイクロCTによる3次元的形態解析、光学顕微鏡下での組織学的観察が行われた。また術前にカルセインとテトラサイクリンを用いた二重標識を行い、骨形態計測を行なった。新生骨高さの割合、新生セメント質長さの割合で、CO3Ap群はSham群と比較し、有意に大きい値を示した。骨形態計測では、骨石灰化速度の項目において、有意差は認められなかったが、β-TCP群およびCO3Ap群はSham群と比較すると骨頂部の骨石灰化速度が高い傾向にあった 本研究の結果より、炭酸アパタイトを用いた歯周組織再生療法の有効性が示唆された。 本年度は上記のように、途中経過で得られたデータに関して論文報告をすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の流行に伴い実験動物の確保が困難になった時期があった。 その間に実施可能な検討事項について調査、分析を進めることができたが、実際に人工骨を用いた顎骨増大とインプラントの同時埋入法の実施というところまでは2022年度では到達が難しかった。実験デザインの再考を行なった上で大型動物 実験を行う計画としており、現在は実験の進捗状況がやや遅れているが、動物実験の倫理委員会の承認など可能なことはすでに終え、実験を再開している。
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今後の研究の推進方策 |
現在は実験の進捗状況がやや遅れているが、早急に動物実験を行うことができるように、動物実験の倫理委員会の承認など可能なことはすでに終え、実験を再開できている。顎骨増大とインプラント同時埋入法の実施を検討していたが、残りの期間も考慮し、対象を絞っての実験計画の修正を検討している。これまで行うことができた検討事項の研究内容から、新規実験デザインは固まっている。オンラインではあるが学会等への参加にて他分野の先生方の行っている研究などから 知見を深めることができ、先行している研究者の助言も仰ぎながら研究を進めていきたいと思っている。実験結果については、国内外の学会発表および、国際誌への発表も予定しており、そちらの準備も進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の流行に伴い、実験スケジュールが計画よりも遅延し、 動物実験の解析、論文執筆のための期間として当初の計画よりも1年間の延長を行なった。
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