研究課題/領域番号 |
21K17024
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
松本 哲彦 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (60849107)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 薬剤関連顎骨壊死 / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
BP製剤の投与による合併症として薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の発症が多く報告されており、その治療法は確立されていない。MRONJは、抜歯や義歯性潰瘍においても発症し、外科的補綴前処置の妨げとなり、理想的な補綴治療を困難にさせる。近年、多分化能を有する間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells : MSCs)/ 骨髄由来間質細胞を用いた再生医療が注目され、中でも顎骨骨髄由来間質細胞(Maxillary / Mandibular Bone Marrow Stromal Cells : MBMSCs)は、歯科領域における再生医療に有用と考えられ、顎骨壊死に対する治療法として応用が期待される。MRONJモデルマウスの製作を行うため、マウスへのBP製剤を静注し、その後大臼歯の抜歯を行い顎骨壊死モデルを製作した。免疫抑制剤を使用した場合と使用しない場合でのモデルマウスを製作したが、本研究では免疫抑制剤を使用しないマウスでの実験を行った。しかしマウス個体の大きさが小さく、抜歯後の顎骨壊死にまで至らないケースがあり実験モデルとして検証が困難であると考えられた。今後はラットでのモデル製作を行い実験モデルの確立を目指す。また、モデルラットの顎骨からのMSCsの採取方法について実験を行うとともに、ヒト口腔内から採取したMSCsの移植とその成果についても今後検証する。本研究は、MRONJ患者へのMBMSCs治療応用を目指すべく、MBMSCsの採取方法の確立、MRONJモデルのMBMSCsと正常MBMSCsの機能解析の上、その骨欠損マウスにおける骨再生能の検証、MRONJ由来MBMSCsの治療応用可能性の探索を目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデルマウス製作の過程で、顎骨壊死モデルに至らないケースが多く、モデル確立に時間を要した。投薬量の調整や抜歯手技の困難さ、麻酔管理の難しさが原因と考えられた。今後は、マウスではなくラットでのモデル製作を行い、顎骨壊死モデルを確立する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
顎骨壊死モデルラットの確立を急ぐとともに、顎骨から間葉系幹細胞を採取しその機能評価を行うことが当初の予定であるが、MSCs採取が困難な場合は、ヒトMSCsの他科移植での評価を行う。これまでにヒト顎骨から採取したMSCsの培養については、これまでのノウハウを利用することで比較的早期に実験を開始できると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスモデルでの実験が困難であっため、新たな実験モデルの確立のために実験動物(ラット)と薬品、器具類の購入が必要である。顎骨からのMSCsの採取方法の確立にあたっても、実験器材の追加購入が必要である。
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