研究実績の概要 |
本研究では鎖骨頭蓋異形成症のモデルマウスによる疾患特異的iPS細胞を作成し、遺伝子編集技術を応用して、その細胞の遺伝子変異の正常化を行い、疾患特異的モデルマウスに同細胞を自家移植することで、移植の可能性を検討することを目的に研究を行った。 本年度はRanklやVdrに関連する遺伝子であるOpg、Cyp24a1などの遺伝子を確認しマウスRunx2ホモ欠損iPS細胞(Runx2-/-miPSCs)を骨芽細胞に分化させることで通常と異なる分化経路を辿る可能性についてさらに細かく解析を行なった。 Runx2-/-miPSCsを骨芽細胞に分化誘導した結果、骨関連遺伝子の遺伝子発現プロファイルにてRunx2-/-miPSCsではRunx2+/+miPSCと比較して53の遺伝子の発現が低下し、わずか3遺伝子でのみ発現の上昇を認めた。発現上昇と低下を認めた代表的な遺伝子(Rankl, Vdr)を詳しく解析し、それらに関連する遺伝子であるOpg、Cyp24a1などの発現を確認することで、通常とは異なる分化経路を示す可能性が示唆された。また、Runx2によるRanklとVdrの複雑な制御が骨密度に大きく影響することを示唆した。この研究によりRunx2を原因遺伝子とする鎖骨頭蓋異形成症に対する治療戦略の足がかりになると考えている。これらの結果はMedical molecular morphologyにて報告した。
|