研究課題/領域番号 |
21K17036
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
兒玉 匠平 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80882993)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 咀嚼 / 舌運動 / 舌圧 |
研究実績の概要 |
舌は,咀嚼・嚥下において非常に重要な役割を果たす器官でありながら,その動きは直接観察することができない.咀嚼時の舌運動を評価する試みとして,X線透視装置や超音波診断装置を用いた研究が行われてきたが,咀嚼時の舌運動は複雑かつ俊敏な動作であるため,詳細な舌運動は明らかになっていない.申請者は、多チャンネルかつ経時的な計測として,舌運動の3次元モーションキャプチャと口蓋部の舌圧発現様相の同時計測系を構築した.本研究課題の目的は,咀嚼時の舌運動と舌圧とを同時計測し,舌の部位的・機能的な特徴を明らかにすることである. 本研究の結果,舌機能低下に対する舌機能訓練や舌接触補助床の製作に貢献することを目標としている. 咀嚼中には,食塊の咬断と混和および咽頭への搬送の機能がはたらく.そこで,被験食品には,咀嚼によって咬断・混和され嚥下に至る食品としてグミゼリーを,主に混和されるが嚥下に至らない食品としてガムの2種類を用いる.舌の3Dモーションキャプチャには舌前方・舌後方正中・舌後方左側・舌後方右側の4カ所に測定マーカーを設置して測定を行った。 令和3年度には予定通り被験者2人を測定し,第66回顎口腔機能学会にて報告を行った.令和4年度にはこれまでにさらに1人測定を行った.これまでのデータを解析すると,咀嚼時の舌の前方・後方それぞれの動き方に特徴が見られ,舌前方は左右方向の運動が大きく,食べ物を噛んでいる左側に運動する様子が多く見られた.一方で舌後方のマーカーは前後方向の運動が前方に比べると大きく,これらの動きを考察すると,測定された舌運動波形が舌が食塊を歯列の上に乗せる働きを示している可能性が高いと思われた.あと数人被検者を増やし,令和4年度の学会で報告する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
途中経過を学会発表で報告しながら、被患者の数を順調に増やしている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度のうちに被検者を増やし,目標としている10人の被験者人数まで今後実験・解析を重ねていく予定である.6月までにもう2人被患者を増やして男女合わせて5人の段階で9月の摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会で報告する予定である. 装置の異物感による影響を減少させるため被験者の馴化を図るために各被検者ごとに2回ずつ実験を行う. 実験で使用する口腔内装置の形状の改良も同時進めながら被検者の違和感が少なくより自然な咀嚼運動が営めるように改善させていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
EMA測定用センサや舌圧センサシートなどの消耗品は被検者ごとに交換する必要があるため適宜購入していく.学会での情報収集や発表のための経費としても使用していく.
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