咬合支持の喪失は、咀嚼能力の低下に関連すると考えられている。しかしながら、これまでの先行研究は、横断的研究に基づくものであった。そこで、本研究では、地域在住の高齢者の咬合支持の変化と咀嚼能力との関連を縦断的に検討した。 その結果、臼歯部咬合支持の喪失は、咀嚼能力低下に関連することが明らかとなり、高齢者の咀嚼能力維持には、臼歯部咬合支持の喪失予防が重要であることが示唆された。臼歯部咬合支持を維持することは、食物摂取の多様性と栄養状態の維持に寄与し、高齢者のQOLを向上させると考えられる。歯科医療従事者は、臼歯部咬合咬合支持崩壊のリスクを評価するために、歯の状態を注意深く検査する必要がある。
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