研究課題
若手研究
口腔インプラント治療の成功には骨量と骨質が重要であり骨粗鬆症患者に対して骨質改善が求められている.これまでに我々はトリプトファンが骨髄間葉系幹細胞(MSCs)の幹細胞性維持に関与することを発見した.本研究では,そのメカニズム解明を試みた.その結果,キヌレニンがトリプトファンの代謝産物として,幹細胞性維持に関与し,骨再生や骨質の改善に関与していることが明らかとなった.また,RNA-seq解析にて,老化に伴うMSCsの質的に大きく変化していることが明らかとなった.
歯科補綴学
本研究は骨髄MSCsを対象としているが,本知見が他の組織に存在する組織幹細胞にも有効であれば,骨粗鬆症のみならず,加齢と関連して発症する歯周病,変形性関節症,認知症等の予防や病態改善に貢献する可能性を有している.このような点から,本研究は創造性が高く、社会的意義も大きい.本研究が成就すれば,ステムセルエイジングの制御に向けた大きなブレイクスルーとなることに疑いの余地はない.さらに,高齢化社会において,健康寿命の延伸や生活の質の向上に寄与し,医療費削減にも繋がる可能性がある.