本申請研究では,金属アレルギー患者に対する新規選択肢の一つとなるPEEK材料へアパタイトをレーザーコーティングすることで生体アパタイトシート被覆のPEEKインプラント材料の開発を目指す.本実験のハイドロキシアパタイト(HAp)薄膜の成膜条件として,ターゲットはcellyardアパタイト,温度は室温,周波数は10Hzとした.結晶化条件については,PEEKの融点が低いことから,140℃3時間による水熱処理が最も適した条件であることが明らかとなった.各種表面解析の結果より,SEM画像において実験群の材料表面にHApと推測される針状の結晶構造が認められた.また,EDSおよびXRDの解析結果から,HApの結晶構造がPEEK表面に薄膜形成されていることが明らかとなった.生後8週齢のSD雄性ラット両側大腿骨から骨髄間葉細胞を単離後,継代培養し,3代目を両群試料に播種,所定の時間培養後に細胞の初期接着およびカルシウム析出量について比較・検討した.SD系ラット骨髄細胞を使用したin vitro評価では,実験群で骨髄細胞の初期接着およびカルシウム析出量が有意に高い数値を示していた.また,実験群の材料表面での骨髄細胞の細胞突起が伸長していることが明らかとなった.本研究の結果より,PLD法を使用することによって,媒介を使用せずPEEK材料表面へのHAp成膜が可能であることが明らかとなった.
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