過酸化水素光分解殺菌法は、これまで一般的な栄養型細菌に対し、短時間で高い殺菌効果を示すことが報告され、主に歯科治療への応用が進められてきた。一方で、歯科治療で用いられる器具の消毒については、滅菌処理ができない材料の場合、高水準消毒が求められる。しかしながら、既存の高水準消毒法では、消毒処理が長時間に及ぶ場合や、作業者への毒性等の問題があった。本研究の成果として、過酸化水素光分解法により細菌芽胞を効率的に殺菌できることが示唆されたことから、本殺菌法は既存の高水準消毒薬と比べて安全な、新規高水準消毒法となりうる。今後は、他の高水準消毒薬との比較や、医療現場への応用へ向けた取り組みを行っていきたい。
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