研究課題/領域番号 |
21K17071
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
村上 小夏 (斉藤小夏) 明海大学, 歯学部, 助教 (00824533)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ブラキシズム / 携帯型筋電図 / バイオフィードバック訓練 / クレンチング / グライディング / 生体学的瞬間評価 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標として①咀嚼筋筋電図バイオフィードバック(Biofeedback: EMG-BF)訓練によるブラキシズムの抑制効果、②生態学的瞬間評価(Ecological momentary assessment: EMA)を用いた筋電図測定中のブラキシズム認識の検証、③問診によるブラキシズム有無の自覚とEMAのブラキシズム認識の比較、④EMAの結果よりブラキシズム診断に用いるカットオフ値の検証を掲げている。①はこれまでの研究を通して検証済みであり本研究では②以降の研究を進めていく。EMAは、被験者に自覚を評価できるアプリを搭載した機器を携帯してもらうことで、筋電図の計測とともに自覚の有無を評価することできる。 本年度は研究期間3年のうち1年目であった。研究の進捗状況としては本格的な研究開始前の被験者のリクルート、消耗品の購入、研究機材の購入を行った。消耗品等の購入はコロナ渦での研究のため、基本的な感染対策に加え人が接触するものへの消毒を徹底するため、感染対策類や消毒等が多くなった。被験者のリクルートは、研究前の予定では主にボランティアの被験者として本学学生を募る予定であったがコロナ渦の影響を受け、被験者獲得は想定通りに進んでいない。学生の登校日数が少なく、リクルートする機会が大幅に少なかったことが要因である。しかし、参加した被験者のデータをもとに解析を進めているため通年の研究期間を通した場合には大幅な遅延はないものと考えている。研究機材購入として、新たにネクストビジョン(歯科用口腔内カメラ)を他科研費と共同購入した。これにより被験者の口腔内所見の確認の際、従来であれば問診表に結果を記入していたものが、ネクストビジョンを使用することで動画として保管することができるようになり、より正確な情報収集ができるようになった。 研究報告は研究テーマの類似するものを学会発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者リクルートおよび研究発表等は滞っているが、研究内容はおおむね順調に進んでいる。 コロナ渦の影響を受け、被験者リクルートは当初の想定人数には達していない。ボランティアの被験者として本学学生を予定していたが、登校日数が少ないため研究内容の説明や問診票の配布等が思い通りに進まなかった。研究内容に同意した被験者に対しては、研究方法に基づき進めている。しかし本研究の特性として被験者は問診によりブラキシズム自覚者とし、BF(Biofeedback)群と、CO(Control)群に振り分ける。昼食をはさむ5時間を測定対象とし3週間の実験を行う。また始めにベースラインデータを記録し、Watanabeらの方法に準じてEMG-BF訓練に必要となる閾値を設定する。この閾値を超えた場合に本体から電子音が発生し、聴覚バイオフィードバックを行う。 CO群に振り分けられた場合はBF信号を発生させずEMG測定のみ実施する。ただし閾値等の設定はBF群と同様に行う。このように、1人の被験者に対して研究の前段階としての過程が長いこと、また実験に進んだ場合でも3週間の実験スケジュールが必要であることが進捗状況が遅れる要因である。今後もコロナ渦での研究であることは変わらないと思われる。しかし、研究期間は3年間であることから、通年を通して進めていくことで被験者数の問題は解消されると考えている。ただし当初の想定人数に到達するか不明なため、同意した被験者のデータ収集と同時に解析や研究報告の準備を進めていく必要がある。 研究発表については、前述のとおり想定通りに被験者数を確保できなかったことから本研究の直接的な内容の報告をするまでには至らなかった。今後の被験者の獲得によりより本研究にかかわる内容での報告ができるよう尽力する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、第一に挙げるのは追加被験者の獲得である。コロナ渦での人を対象とする研究であるため、様々な点において配慮が必要である。被験者をリクルートする際は問診票の配布が必要であるため、その機会を増やすことが重要である。また、研究内容の説明同意に加え、感染対策を徹底していることを被験者へ説明する。使用する機器で体表面に接する部分のディスポーザブルはもちろんこと、体表面に接しない部分であってもアルコール消毒またはそれに準ずるもので清潔に保つことが求められる。これらにより被験者の不安を取り除き、研究への積極的な参加を促していく。 本研究期間は通年で3年間であるが、当初の予定通りの被験者数が獲得できるかは不明である。当初は初年度におおむねリクルートを終了する予定であったが、次年度にも持ち越す必要が出てきた。そこで2年目も引き続いてリクルートを実施するとともに、これまでのデータ抽出・解析等を同時に進めていく。本研究の特性として、実験開始前に聴覚によるバイオフィードバックのための閾値設定が必要となる。またバイオフィードバック訓練の効果があったか否かを判定するため、3週間の実験期間が必要である。1週目は両群ともに閾値設定および筋電図測定、EMA記録、2週目はBF群はBF訓練、筋電図測定、EMA記録、CO群は筋電図測定、EMA記録、3週目は両群ともに筋電図測定、EMA記録を行う。これにより各週のデータを比較しすることでBF訓練の効果を評価することができる。したがって時間的制限をしうるとしてもこの研究スケジュールは変更しない。 また今後の研究で得られたデータの解析結果をまとめ、関連学会での発表も進めていきたい。形式は問わず、ポスター発表や口演発表のいずれかを想定している。 スケジュールはタイトであるが必要事項はなくさずに進めていく。
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