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2021 年度 実施状況報告書

マイクロ波照射により歯科補綴物を脱着可能にするスマートセメントの創製

研究課題

研究課題/領域番号 21K17080
研究機関福岡歯科大学

研究代表者

梶本 昇  福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (30824213)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードレジンセメント / マイクロ波 / 接着 / 脱着
研究実績の概要

本年度は,マイクロ波脱着セメントの組成の検討を行った。
MMA系レジンセメントをベースとし,粉成分に熱膨張粒子(F-36,松本油脂製薬)(以下,TC),液成分にイオン液体Choline bis(trifluoromethylsulfonyl)imide(以下,Cb)を添加した試作接着セメントを調製し,曲げ強さ(3点曲げ)を測定した。いくつかの組成でJIST6611:2009の歯質接着性レジンセメントの曲げ強さ要件(20MPa以上)を満たしたが,せん断接着強さを評価したところ,マイクロ波照射前後の接着強さに有意な差が認められなかった。
そこで,イオン液体Cbだけの発熱ではTCを十分に膨張させることができないと考え,①発熱を補助するフィラーの添加,②他のイオン液体の検討の2案を試みることとした。
発熱を補助するフィラーとして,マイクロ波で発熱する特性がある炭化ケイ素(以下,SiC)を添加することを検討した。予備的にイオン液体を使用せず,粉成分にSiCおよびTCを添加したレジンセメントを作製し,マイクロ波照射による温度変化,寸法変化を測定したところ,イオン液体を添加せずとも,顕著な発熱および膨張が確認できた。この結果から,当初は発熱源としてイオン液体とSiCを併用することを考えていたが,SiCを発熱源として単独で用いて検討を進めることとした。現在は,粉末成分にSiCとTCを添加したMMA系レジンセメントを作製し,曲げ強さ,マイクロ波照射による温度変化,寸法変化の観点から,最適な組成を検討している。また,②案に関しては新たに検討するイオン液体の種類を検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

予想していた結果と異なったため進捗が遅れている。
MMA系レジンセメントにイオン液体Cbと熱膨張粒子を添加した試作接着セメントを試作し,物性の検討を行っていたが,マイクロ波照射による脱着特性が予想を下回り,材料設計の修正を余儀なくされたため,当初の計画よりも遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

2021年度に実施した研究結果に基づいて,組成の検討を行う。すなわち,発熱源としてSiCを添加した試作セメント硬化体を作製し,基礎物性(曲げ強さなど),マイクロ波応答性(温度変化,寸法変化)から適切な組成を明らかにする。また,様々な被着体を用いた接着/脱着を評価する。
発熱源としてCb以外のイオン液体を用いた組成の検討も進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

試作接着セメントの物性が予想を下回り,材料組成の再検討が必要となったため,実験が計画より遅れている。そのため,本来は様々な被着体(ジルコニア,ハイブリッドレジン,ガラスセラミックス,牛歯など)を用いた接着/脱着試験を行う予定であったが,実施には至らなかったため,未使用額が生じた。
上記接着/脱着試験は次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい。

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公開日: 2022-12-28  

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