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2023 年度 実施状況報告書

高齢者における骨修復能破綻機構の解明と高齢骨疾患患者への骨修復法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K17083
研究機関東京大学

研究代表者

田澤 美樹 (柏木美樹)  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70803360)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード老齢マウス / 骨欠損 / 骨修復
研究実績の概要

2023年度はまず、老齢マウスを用いた解析を行った。マイクロCT解析の結果、若齢マウスでは、骨欠損作成後14日目から骨の癒合が認められ、28日後において明確な骨癒合が認められた。一方、老齢マウスにおいては、骨欠損作成後28日経っても骨癒合はほとんど認められなかった。H.E.染色とSafranin O染色を用いた組織学的解析の結果、老齢マウスにおいては、仮骨形成部位におけるサフラニンO陽性の領域が、若齢マウスと比較して有意に小さいことが明らかになった。骨粗鬆症モデルにおいても類似の傾向が認められたものの、老齢モデルマウスを用いた方が安定した結果を得られたため、今後の解析は老齢マウスを用いた解析を行った。次に、若齢マウスおよび老齢マウスを用いて、1細胞RNA-seq解析を行った。骨欠損作成の2週間後に、骨修復部において組織を回収後、段階的な酵素処理により細胞を回収した。その後、10x Genomics社のChromiumキットを用いた解析を行った。次世代シーケンサー解析により得られたシークエンスデータは、東京大学医科学研究所スーパーコンピューターShirokaneを用いて解析した。Cell Rangerソフトウェアを用いてマウスリファレンスゲノムmm10へマッピングした後、Seuratを用いてさらなる解析を行った。若齢マウスおよび老齢マウス由来サンプルの統合解析を行い、クラスタリング解析および細胞アノテーションにより、軟骨細胞や骨芽細胞を含む16種類の細胞集団を同定した。さらに、リガンド-受容体解析の結果、老化サンプルにおいて、既知の老化関連遺伝子の発現上昇が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に沿って解析が進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後さらなる解析により、老齢サンプルにおける特異的なシグナル経路や遺伝子発現を明らかにし、老化に伴う骨修復能低下の要因を明らかにする予定である。また、Ovxマウスと正常マウスにおける骨修復時scRNA-seqプロファイルを比較解析し、正常マウスにおいて特異的に活性化するシグナル・転写因子群を骨再生性シグナルとして同定する。その結果から、同定したシグナル活性化剤および転写因子群を導入し骨再生に対する効果を検討する。シグナル活性化剤には組み換えタンパク質もしくは低分子化合物を、転写因子群の導入にはアデノ随伴ウイルスを用いる。これらの骨再生性シグナル候補を、組み合わせを含めて単回投与した後、7,14,21,28日後に、骨修復をin vivoマイクロCTで解析する。また、骨折部および仮骨を含む組織を採取し組織切片を作製する。組織学的解析により新生骨を検証するとともに、免疫組織学的解析により骨分化マーカーの発現を検証する。分化マーカーのmRNA発現に関しても、必要に応じてin situ hybridizationを行う。

次年度使用額が生じた理由

本年度より解析を進めているが、開始がやや遅れ気味であるため、本年度は使用金額が予定より少なくなった。次年度は、さらに解析が進んでいくため、本年度分の助成金を使用して実験を進めていきたいと考えている。

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公開日: 2024-12-25  

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