研究課題/領域番号 |
21K17087
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
栗岡 恭子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (60882363)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 口腔癌 / がん幹細胞 / ウイルス療法 |
研究実績の概要 |
口腔癌に対する標準治療としては手術、放射線療法、化学療法、さらに近年は免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた集学的治療が行われている。しかしながら局所進行例や再発転移症例に対しては予後不良であることが多い。近年、治療抵抗性を示す因子の一つにがん幹細胞(以下CSC)の関与が注目されている。CSCは自己複製能と多分化能を有しており、放射線化学療法に対して治療抵抗性を有していると言われ、CSCを死滅させることが根本的治療につながると考えられる。近年、幹細胞性が極めて強く予後不良である悪性膠芽腫の治療薬として第三世代がん治療用ウイルスが製剤化されており、口腔癌に対する効果も期待できる。 CSCは間葉系性質を有しており、浮遊培養で細胞塊(スフェア)を形成する。スフェアをシングルセルに分離し、個々を培養すると自己増殖し再びスフェアを形成し、これは幹細胞性の特徴を有していると言える。ヒト口腔扁平上皮がん細胞であるSAS、HSC-2、3、4は浮遊培養でスフェア形成し、そのスフェアをシングルセルに分離し培養すると再びスフェア形成することを確認できている。今後はこれらの細胞のスフェアに対するがん治療用ウイルスの殺細胞効果を検証するためにこれらの定量化をin vitroで行い、同時に幹細胞マーカーの発現量の変動の有無についても検討する。さらに原発巣と転移巣の細胞について幹細胞性の点においても比較しその違いについて検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
がん細胞の浮遊培養を行い、それぞれスフェア形成を確認することは可能であったが、定量化することが煩雑であり、それに伴いがん治療用ウイルスの殺細胞性効果および幹細胞マーカーの発現解析について当初の目標より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
それぞれの細胞株に対するがん治療用ウイルスの効果および発現マーカーの変化についてin vitroでの検討を継続する。さらに、原発巣と転移巣との幹細胞性についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会がほとんどWEB開催であり、想定していた金額を使用しなかった。次年度使用額が生じたが、予定している研究を遂行するためには物品購入費に必要金額である。
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