研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症 (ALS) におけるこれまでの研究では乳幼児期のALSモデルマウス(SOD1-G93A) において、咀嚼を制御する一次感覚神経の発火異常が報告されている。本研究ではALS モデルマウスを用いて、① 咀嚼障害が病期のどの時期にどのように現れるのか、人工知能(AI)を用いた咀嚼行動の検討を行う。さらに、② 咀嚼を制御する一次感覚ニューロンの発火異常が病期とともにどのように推移するのか、電気生理学的な検討を行い、ALSの咀嚼障害の治療に有益な手法の考案を目的とする。 ①において、ALSモデルマウスの咀嚼行動をビデオカメラで撮影、撮影した動画をSSD (Single Shot MultiBox Detector)を用いて咀嚼サイクルを自動検出し、野生型マウスと比較検討したところ、ALSモデルマスでは野生型マウスと比較し、12週齢頃より咀嚼サイクルが有意に延長することがわかった。 ②においては現在、咀嚼を制御する一次感覚神経の電気生理学的検討を行い、成熟期のALSモデルマウスにおいても異常な発火活動と基本膜特性の変調を認めた。 ALSモデルマウスの咀嚼サイクル検出AIの開発と、咀嚼サイクルの経時的変化、成熟期ALSモデルマウスにおける一次感覚ニューロンの変調について、第67回、口腔外科学会総会、2022.Oral Science にて学会発表した。2023.03.27 Nutrients誌にて研究成果を論文報告した(Kitaoka and Seki et al.,2023)。2023.International Conference on Oral and Maxillofacial Surgery (ICOMS)にて学会発表した。また 2023.11.02 Biomedicines誌に研究成果に関係する総説論文を報告した (Seki et al.,2023)。
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