研究実績の概要 |
●Cx3crcreER ; R26tdTomato マウス 組織マクロファージは、胎生期7~7.5週 (E7~7.5)に卵黄嚢に出現する早期EMP (Erythromyeloid progenitor) 細胞のうち、Transcription factor Myb依存的にCx3cr1 (CX3C chemokine receptor 1)を発現する卵黄嚢マクロファージが由来と考えられている(Mass E, et al. Science. 2016)。Cx3cr1陽性卵黄嚢マクロファージはE8.5に出現し、これらの細胞が組織マクロファージのsourceとなる。 そこで我々は、B6.129 P2(C)-Cx3cr1tm2.1(creERT2)Jung/JとB6.Cg-Gt(ROSA) 26Sor tm14(CAG-tdTomato)Hze/Jを交配させることでCx3crcreER ; R26tdTomato マウスを作製する。B6.129 P2(C)-Cx3cr1 tm2.1(creERT2)Jung/Jは、Cx3cr1を発現した細胞にCre-ER(エストロゲン受容体)タンパク質を発現させ、タモキシフェン依存的にCre-loxpシステムを作動させることができる。本実験ではB6.Cg-Gt(ROSA) 26Sor tm14(CAG-tdTomato)Hze/Jと交配させることで、タモキシフェン依存的にCx3cr1陽性細胞にtdTomato(赤色蛍光色素)を発現させる。このマウスのE8.5にタモキシフェンを作用させることで、Cx3cr1陽性卵黄嚢マクロファージにtdTomatoを発現させ、組織マクロファージのみtdTomatoで標識されたマウスの作製を試みた。 ●マウス口腔癌細胞株(MOC1, MOC2)移植による組織学的解析 野生型マウスに、マウス口腔癌細胞株(MOC1, MOC2)を移植し、腫瘍組織におけるtdTomaro陽性マクロファージの局在について検討を行った。 MOC2細胞株はMOC1細胞株に比べ、転移や増殖力が高いため、MOC2を高悪性度の口腔癌細胞として扱う。継時的に組織マクロファージの動態を確認するため、腫瘍移植後1, 2, 4週でそれぞれ腫瘍細胞を摘出し、蛍光免疫染色で組織マクロファージの局在の変化を検討する。高悪性腫瘍(MOC2)における組織マクロファージの動態も、MOC1と比較することで検討を行なった。
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