研究実績の概要 |
若年者(18-39歳)と中高年者(40-67歳)の抜去歯からDPSCs を単離・培養後し,それらの特性の同定,細胞増殖能を評価した。次に, 骨芽細胞分化誘導培地, TH添加骨芽細胞分化誘導培地で各年齢群のDPSCsを培養し, THによる骨分化誘導能をArizarin red染色, ALP染色, リアルタイムPCRにて両年齢群の比較検討を行なった。さらに,各年齢群のDPSCsを用いてTH添加DPSCs骨芽細胞シートを作製し, 免疫不全マウス頭頂骨欠損部へ移植し,生体内での骨形成能の比較検討を行なった。 Arizarin red染色, ALP染色では, 両年齢群のTH添加群で石灰化の亢進とALP活性の上昇を認めた。リアルタイムPCRにて, 両年齢群共にTH添加群での骨分化マーカーの発現の上昇傾向を認めた。また, 骨芽細胞分化の重要な転写因子であるRunx2の蛍光免疫染色では, 両年齢群においてTH添加群で有意にRunx2陽性細胞が増加した。更に, TH添加DPSCs骨芽細胞シートの移植実験では, 移植後8週でのマイクロCT画像評価にて, 中高年者群でも若年者群と同等の骨形成が認められた。 THを添加した骨芽細胞誘導培地での培養により, 中高年者由来DPSCsでも若年者同様に高効率な骨分化誘導が可能となることが示唆された。また, THを用いることで, 中高年者由来DPSCsも骨再生療法において有用な細胞源となり得ると考えられた。
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